ありがとうって何が?

「つっかれたぁ…」

三人は床に倒れていた。

「大丈夫かー?」

全く動かない三人を突つく。

「…ヒーローたるもの、こんなのでへこたれてはいかん!!」

とうっ、と言って立ち上がった。

「うわー…ちーちゃん先輩元気ー…」

二人は手で顔の近くをパタパタしていた。暑苦しい。俺は着ているシャツを掴んで汗を拭く。

「…タオル、どうぞ。」

「お、ありがとう。」

高峯くんからタオル受け取り肩にかける。すげぇ視線感じるんだが。

「…何?」

「いえ…何もないっす。」

高峯くんは衣更くんたちにタオルを渡しに行った。どうしたどうした。

「俺、先上がんぞ。」

時計を確認したら結構な時間動いていた。バスケ部はまだ練習するだろうし。

「ま、待って!」

衣更くんが走ってきた。

「ユニット…」

「え?」

「俺たちのユニット…後で見にきてほしい。」

あぁ、なんだ。

「近頃見に行こうと思ってたところだよ。」

「本当かっ?!」

バッと顔を上げた。

「うん。」

「絶対だぞ!」

「はいはい。わかってる。」

こんなに必死になってるなんて。かわいい。




「玲吾!」

皆より早く終わって部室で着替えをしていたら守沢が入ってきた。

「ん?部活はいいのか?」

まだ練習中だろ。

「今は休憩にしてるぞ!」

「…ふーん、そうか。」

気にせず着替えの続きをする。

「玲吾ー。」

後ろから腰に手がまわってきた。

「んー?」

背中温かい。上半身裸なんだけど。着替えできねぇ。

「…ありがとうな。」

「俺なんかしたっけ?」

「俺が勝手に思ってる。」

「え?」

たまに変なこと言うんだよな守沢って。

「一緒にバスケできてよかった!…会えて嬉しいぞ。」

「…ふ、なんだそれ。」

振り返ると守沢と目が合った。

「守沢、熱い。」

守沢の頬を撫でれば火照っているのがわかる。

「…意識してるから、か?」

「随分ストレートな表現を。」

「え、す、すまん!」

自分が言った言葉が恥ずかしかったのか焦ってる。

「俺は嬉しかったんだけどなぁ。」

「っえぇ?!…そうか…が、頑張るぞ…」

「うん。ありがとう。」


部室の入り口のところに一つの影が見えた。

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