レッツバスケ!

高峯翠side


あの人がいた。あの人が目の前に現れた。

「あ…」

驚きすぎてボトルを落とす。だけど身体が固まってしまって。気がつけばあの人が拾っていた。

また迷惑かけた。死にたいっていう気持ちが押し寄せてきてる。それなのに…

「…んじゃ、高峯くんの代わりに頑張ろうかな。」

そんなこと言うから何が何だかわからなくなって。俺は多分…いや絶対間抜けな顔してる。

「面白い。」

口角を少し上げて俺の方へと手が伸びてきていた。

撫でられる。そう思った。

でもあの人は手を引っ込めた。

「…ごめん。」

申し訳なさそうに俺を見て遠ざかって行く。一気に胸が苦しくなる。仕方ないじゃん。俺がしたことなのに。

「高峯!マネージャーの仕事、よろしくなっ!」

「…っわかり、ました。」

玲吾ー!と言って走っていく守沢先輩。正直見たくなかった。守沢先輩があの人に抱きついているところを。

あの人も守沢先輩を受け止めて頭撫でてるし…


「…死にたい。」

ごめんなさいって言えば貴方は俺に触れてくれますか。


高峯翠side終
─────────


「っしゃあ、ナイス!」

衣更くんとペアを組んで2on2をしていた。じゃんけんで勝ったやつが俺と組むという意味わからないことをやっていたが。

「っ決めてください…!!」

衣更くんからパスが来る。

「りょーかい…っと!」

スリーポイントラインからシュート体制に入ってボールを手から離す。

「…よし。」

どこにも当たることなくリングの中に入っていった。それと同時に終わりの合図が鳴り渡る。

「勝った!」

「いぇーい!」

衣更くんと二人でハイタッチをした。無事俺らが勝つことができたんだ。

「衣更くんっていいパス出すよね。すげぇ取りやすかった。」

「えっ?!あ…ありがとう…ございます…」

だんだんに声が小さくなってる。

「なんでこういう時には敬語なのさ。いつも通りでいいのに。」

さっきまでのテンションどうした。

「で、でも、一応先輩だし…これから敬語で話さないとって…」

視線を逸らしながら言う。

「…無理に変えなくてもいいと思うけど?」

「うっ…それは…」

言葉を探してるようだった。

「てことで敬語なし。ついでにフルネームじゃなくて名前で呼んでほしいな。」

衣更くんは俺をチラッと見て頷く。

「おぉーい!!もう一回やろう!!」

「リベンジリベンジ!」

元気だなぁ。

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