ご一緒に

大神晃牙side


偶然だった。

たまたま音楽室を通り過ぎようとしたのに、ピアノの音が鳴っていてその音に引っ張られるように扉の前で立ち止まっていた。

扉越しでもわかる切ない音。普段はこんな曲聞こうとも思わないがピアノうめぇな、とか考えて結局は聞いてしまっている。

誰が弾いてんのか気になって興味本位で扉を開けた。

「…はっ?」

俺は驚いて扉に肘をぶつけてしまった。あんなやつがそういう表情すんのか。悲しそうで、苦しそうな、でも微笑んで…


「…誰。」

気がつけば音は止んでいた。足音が近づいてきて俺はとっさにしゃがむ。

頭が混乱してなぜかこいつに謝っていた。

…何やってんだ俺。

「なんでここにいるの?」

同じ目線にこいつがいた。

「…別に。通りかかっただけだ。」

「…ふーん。中入る?」

小さく笑うこいつにイラッとして立ち上がった。

「帰る。」

こいつもそっか、と言いながら腰を上げる。

「残念だな。また会えるといいね。」

俺に手を振って音楽室の中に入って行った。クソが。こいつ見てっとイライラすんだよ。

後ろを向いて歩き出そうとした時、ギターの独特な音が鳴った。



大神晃牙side終
─────────


俺は音楽室の中に入って奥にあるエレキギターを手にした。一回奏でてみる。

あー、そうそう、この音。

何の曲弾こう。大神くんは…確かUNDEADだっけ?Melody in the Darkかな。


「待て!!」

「…ん?」

扉がバーンと開いた。帰ったんじゃなかったのか?

「お前、」

「え、なになに。」

すげぇ怖い顔してこっち来てるんだが。勝手に弾いたこと怒ってんの?下手くそってか?


「…ギター、弾けんのか?」

「え。」

「だからギター弾けんのかって聞いてんだよクソが!!」

えええええ…

「うん、まぁ少しなら。」

「…俺も弾く。」

「えっ。」

大神くんの顔をガン見してしまった。

「んだよ…」

とか言いつつ顔赤いよどうしたの。

「俺下手だけどいい?」

「関係ねぇ!!早くしろ!」

大神くんを見るとギターを手慣らしに弾いていた。準備早いな。

「よーし、頑張っちゃおう。」

顔を見合わせて同時に演奏を開始した。

prev / back / next
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -