寂しがり屋
「…来てしまった。」
玲吾に会うだけのために学校へ足を運んだ。今から会えると思うと頬が緩んで仕方ない。
教室に入り、席に座る。俺の席は窓側の一番後ろ。
「早く来ないかな。」
その声は虚しく消えて行った。時計を何度も見ても針が思ったほど動いていない。時計を見ないように机に伏せて待った。
「…遅い。」
どれくらいの時間が経ったのかはわからないが、いくらなんでも遅い気がする。机に伏せたまま空を眺めるとオレンジ色になっていた。
…本当に来てくれるの?あぁもうわかんない。メロディーが頭に流れそうでもなぜか消えていく。
それほど俺は玲吾を
「っ月永…!」
「あ…」
振り返ると肩を上下にさせ息を切らしている玲吾が扉のところに立っていた。咄嗟に立ち上がり、玲吾の方へと走る。
「玲吾っ!!」
思いっきり抱きついた。
「おお…?!」
少しふらつきながらもしっかりと支えてくれた。
月永レオside終
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「俺、汗臭いぞ。」
「んーん。大丈夫。」
「遅れてごめんな。」
「…うん。」
「暑い。わわ…」
逆にさっきよりも強く抱きしめてきた。
「…む。」
むすっとした顔がこっちに向けられる。
「そういうことじゃないって。」
抱きしめ返せば嬉しそうに笑った。
「元気にしてた?…てか、痩せたよな。」
月永の腰辺りを触ってみるとビクッと肩を震わせた。
「…元気、だったよ。痩せたのかな…わかんない。」
「そうか。ちゃんと食え。」
腰から脇へとなぞる。
「っん、そこは、弱いって、知ってるくせに…!」
「ははっ、そうだったの?」
「なっ?!んっ…」
触れるだけのキスをした。
「…本当に元気そうでよかった。」
あの時以来月永を見てなかったからどんな状態になってるのかもわからなくて
「…『あの時』はありがとう。玲吾の、おかげで…」
「俺は何もしてな…」
ズイッと顔を近づけてくる月永。
「…もう一回、キス。」
「わがままか。」
唇を重ねる。
「ん、んぅ…っ」
さっきより濃厚なキス。
あの時はただ月永を安心させたくて、不安を取り除いてあげたくて、抱いただけ。