レオ。

スマホの着信音が鳴った。

「はーい。もしもし。」

誰かを確認せずにスマホを耳に当てる。

『…玲吾!』

懐かしい声がした。

「どうした、月永。」

紛れもなく月永レオの声。

『ドラマ見たぞー!かっこよかった!』

「おー、ありがとう。」

『玲吾を見たらインスピレーションがとまらなくてな!わははっ☆』

「床とか汚すなよー。」

『なっ…?!玲吾を思い浮かべながら書いたんだぞ!』

想像できる。

「ははっ、そっか。それは楽しみだなぁ。」

そう言うと焦りの声が聞こえた。

『だ、ダメだっ!!』

そんなに俺の印象最悪なのかな。

「んで、月永。要件はそれだけか?」

『え。』

一気に静かになった。…いや、だってさ。まず月永が電話かけてくんのは珍しいし。ただ単に暇だからってこともあるけど…なんとなく。まぁ違ってたら恥ずかしいよな。

『…むむむ…』

「どうしたどうした。」



────────
月永レオside


「…むむむ…」

感が鋭い玲吾。いつも些細な変化に気づきやがる。玲吾は優しく俺に声をかけてきた。

いろいろな感情が混ざって居ても立ってもいられなくて。

「会いたい。」

普段テレビなんて見ないのにチラッと見た時玲吾が映っていて、何も知らなかった俺はテレビに食いついて見た。

あの時からずっと玲吾を見てなかったから。また、触れたいと思った。

テレビ画面越しに玲吾に触れても違う。当たり前のことだけど、やっぱり悲しくなった。せめて声だけでもって思って電話したのに、会いたい気持ちが膨らむばかり。

「…会いたい。なぜか胸が締め付けられるんだっ…」

『…うん。』

その声が余計にダメなんだ。

『…明日、学校に来て。』

「っえ…?」

『俺、明日の放課後に行くから。来て。その時に俺を思い浮かべながら作った曲を聞かせて。』

手が震えるのがわかった。恐怖からによるものではなくて一気に感情が溢れ出てきたから。


『俺も、月永に会いたいな。』

俺の頭の中で新たな曲が作られた。

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