ドラマ

「お疲れ様でしたー。」

周りからは拍手の音が聞こえる。やっと終わった、撮影。今日が一番激しいシーンで終わった後の疲労感半端ない。

俺が出てるシーン全部ノーカット。思ったよりスムーズに進行できたらしい。

「お疲れ、海崎くん。素晴らしい演技だったよ。」

「ありがとうございます監督。これからも勉強していきます。」

監督と握手をした。

「海崎くん!お疲れ様!」

「お疲れ様です。」

「とてもかっこよかったわ!」

「いえ、そんな…ありがとうございます。」

出演者に一人一人挨拶をする。あー、疲れた。早く帰りたい。


「お疲れ様です。海崎くん。」

撮影場所の入り口付近で声がした。

「あれ。椚先生。」

なんでここに?

「ここの近くに用事がありまして、ついでに寄ってみました。」

「…ってことは、ずっと見てた?」

「えぇ、バッチリと。」

うわ、知らなかった。

「…まぁまぁいいと思いましたよ。さぁ、早く着替えて学校へ行きましょう。」

「そういう魂胆か。」

その後引きずられながら登校した。




──────────
葵ゆうたside


「忍くん、おはよう。」

「あっ、ゆうたくん!おはようでござる!」

朝、教室に入ったら忍くんがスマホを横にしているのが気になった。何かを見てるようだ。珍しい。

「何見てるの?」

後ろから覗いてみる。

「玲吾殿の出てるドラマを…」

「えっ?!」

思わず大きな声を出してしまった。玲吾先輩がドラマに?!

「というか忍くん、玲吾先輩知ってたの?!」

もしかして入学してから今まで知らなかったのって俺らだけ?!

「最近初めて会ったばかりでござるよ。」

忍くんは嬉しそうに笑った。

「やっぱり…」

謎だ。謎すぎる。

「ゆうたくんも見るでござるか?」

「見るっ!!」

忍くんの隣に座ってそのドラマを見た。



「すっごい…」

「わ…」

見終わった頃には何も言えない状態になった。玲吾先輩と出会った時と全然印象が違うように思える。それほど演技力がすごいってことなんだよね…

主役じゃないのに玲吾先輩を自然と目で追っていた。

「毎週見よう。」

「そうでござるな…」

こういう玲吾先輩もかっこいいなって。むしろ、どんな役でもいいのかも。



葵ゆうたside終

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