疑い

大神晃牙side


あいつは吸血鬼ヤローと散々ベタベタした後帰っていった。

「……。」

初めて見た。吸血鬼ヤローの愛おしそうにあいつを見る顔と今あいつが出て行った時の悲しそうな顔を。

「我輩の顔になにかついておるのか?」

いつも通りに戻った?

「あぁ?…いや、別に。」

吸血鬼ヤローはそうか、と言って棺桶の中に入って行った。そんなにすげぇやつなのかよ。吸血鬼ヤローがあんなに惚れ込んで。

「俺たち練習しないとね。」

「よーしっ、やるぞー!」

意味わかんねぇ。ここで見たことないやつがアイドル科って言って怪しくないわけないだろーが。なんでそう素直に受け入れんだよ。

「…ッチ」

腹立つ。

力任せに扉を開け廊下に出た。行く宛もなくただただ歩いてふと外を見ると、ぷらぷら歩いてる海崎玲吾がいた。

…ぜってー何か掴んでやるクソが。




大神晃牙side終
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その後二、三日学校へ行かなかった。行けなかった。そして今日椚先生から連絡があって必ず来いとのこと。もー、先生人使い荒いんだからー。

走って学校へ向かった。いつも通り人にはすれ違わない。

「椚先生ー。来たよー…ってあれ?」

職員室に入って椚先生のところに行ったんだけど、隣には背の高い子が立っていた。先約か。

「あぁ、玲吾くん。やっと来ましたか。少し待ってください。今この人に…」

すげぇ面倒くさそうな顔してるじゃん。

「説教?」

「盗み聞きしようとしているんですか?少し離れて待ってください。」

ちらっとその人を見ると助けて、と訴えてるようだった。

「先生、早くしないと俺帰っちゃうよー!」

この人が何をしたのかわからないけど。

「…はぁ…わかりました。もう戻っていいです。」

呆れた顔で長身くんに言った。


「やったな。」

「え、あ…はい。」

その人はすみませんでした、と言い後ろを向いて歩き出そうとした。

「…え?」

俺が腕を掴んで歩くのを阻止した。

「んで、先生。課題ください。」

「ちょ…は?」

「あぁ、はい。明日までに提出してくださいよ。」

またドサッと渡された。

「ありがとうございます。…さ、行こう。」

「え、え?」

訳の分かってないこの人を引っ張って職員室を出た。

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