▽ 6-3
Another side
現職の警察官が立て続けに殺されるという事件。しかも連続殺人の疑いがある。
自分の管轄ではないとはいえ、その事件は俺も気にかかっていた。
テレビやネットのニュースでは、警察への恨みか?などとあることないことが報道されている。
それを見て頭に浮かんだのは、これに心を痛めきっと俺の身を案じているであろうなまえの顔だった。
どうしてもそれが気にかかり電話をかけてみると、案の定少し震えた声で俺の事を心配してくれる彼女。
数日ぶりに聞く彼女の声は、すとんと自分の心の中に落ちてきた。
なんで俺達喧嘩してるんだ・・・。
声をつまらせながら自分の身を案じてくれる彼女の声を聞いた時、あの日素直に彼女と向き合えなかった自分を恥じた。
赤井への嫉妬だとかそんなものより、あの日きちんとなまえに向かい合うことが大事だった。
電話ではうまくそれを伝えることが出来そうになくて、会う約束をとりつけた。
今から急いで仕事を終わらせれば、日付をまたぐ前には彼女に会えるだろう。
電話を切って数時間後。
なまえから一件のメッセージが届いていた。
そこに書かれていたのは、店長の代わりに米花サンプラザホテルに新しくオープンする店のオープニングイベントに行ってくるということ。
そんなに遅くはならないと思うから、待ってるね、と添えられていた。
米花サンプラザホテル・・・・・・。
そういえは今朝、毛利探偵事務所に寄った際、毛利さん達が白鳥警部の妹さんの結婚を祝う会で今日あそこに行くと言っていたな。
きっと警察関係者が多く集まるであろうそのパーティー。
「・・・・・・考えすぎだよな」
僅かに頭をよぎった嫌な予感。
けれどなまえがそのパーティーに参加するわけじゃないし、考えすぎだろう。
とりあえず今は夜までに仕事を片付けなければ。目の前の書類の山に手を伸ばした。
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