続・もし出会わなければ | ナノ
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▽ 4-7



Another side(1/2)


キッドの予告状が何故ここの<ひまわり>を指し示すのか。次郎吉さんの集めた侍達が説明しているのを横目に見ながら、もう一度この事件の一連の流れを思い返す。



そもそも宝石しか狙わないキッドが、こうして絵画を執拗に狙う理由がわからない。


そもそも何故今回は五枚目の<ひまわり>なんだ。



そんなことを考えている間に、美術館の閉館時間を早め、<ひまわり>を安全な場所に移すことが決まり慌ただしく人が動き始める。



運搬を担当する石嶺と呼ばれた男を筆頭に、<ひまわり>は三十分ほどで壁から外され台の上へと移動させられる。



「さすがチーター運送の石嶺だ。三十分でここまでくるとは・・・・・・」
「日没まであと一時間・・・・・・なんとか間に合いそうだな」


その迅速な対応に、毛利さんや中森警部はすっかり感心していた。


<ひまわり>が梱包されている間に、その蓋を運ぼうと女性二人が蓋に手をかけた。



たしかあの二人は、企画プロデューサーの圭子 アンダーソンと鑑定担当の絵画鑑定士の宮台 なつみか。


女性二人で運ぶには重いであろう蓋。近くにいた警備員が彼女達を手伝おうとすると、それを演出担当の岸 久美子と絵画の修復士の東 幸二が遮った。



「チーム以外の人間が関わるのを石嶺さんは嫌がるから」
「そうね、気持ちだけ頂いとくわ」



そう言いながら蓋を運ぶ四人。


彼らをじっと見ていると、いつの間にか隣に来ていたコナン君に声をかけられる。



「安室さんは何かわかった?」
「・・・・・・いや、わからない。ただ犯行時刻が今夜となっている以上、キッドは金庫から盗み出す可能性が高い。金庫の方も点検に行くべきじゃないかな」


怪盗キッドは今まで予告状を違えたことはなかったと記憶していた。そんな彼が今夜というなら、それは金庫から盗み出すということなのだろう。



「だよね。でもどうやって・・・・・・」


コナン君がそこまで言いかけたその瞬間、今にも<ひまわり>にかぶせられようとしていた蓋の裏に何かカードのようなものが挟まっていることに気付く。



「「・・・・・・っ!」」


コナン君も同時にそれに気付いたようで、視線が交わる。彼は小さく頷くと、声をあげた。



「待って!蓋の裏になにかついてる!」
「コラッ!小僧!ただでさえ時間がねーってのに、騒ぐんじゃねー!」


すぐさま毛利さんがコナン君の襟を掴んで持ち上げた。



「毛利先生、たしかに蓋の裏にキッドカードのようなものがついていた気がしました」
「あぁ?お前までそんなことを・・・」


そんなコナン君に助け舟を出す。


「石嶺!蓋の裏を見るんじゃ!」


次郎吉さんの指示で蓋の裏が確認される。



「あ!!」


台の近くで座っていた石嶺さんと宮台さんカードに気付き立ち上がる。



彼女は蓋の裏についていたカードを掴む。



「カードです!これってまさか・・・!」


カードを宮台さんから受け取った中森警部が裏返すと、そこにはキッドからのメッセージ。



『ひまわりは確かに受け取った。怪盗キッド』



それを見た中森警部は眉をひそめた。



「受け取っただと・・・・・・?<ひまわり>はここにあんじゃねーか!」



彼の言う通り、間違いなく<ひまわり>は目の前にある。ということは・・・・・・。



「ここにある<ひまわり>はすでに・・・・・「偽物という可能性がありますね」


行き当たる可能性を口にすると、最後の言葉を隣に立つ男に奪われる。



ちらりと隣を見ると、眼鏡をかけたアメリカ人の姿。彼は眼鏡を直しながらこちらに視線を向けた。



ニューヨーク市警のチャーリー警部か・・・・・・。



コナン君から聞いた話では、アメリカでの警備担当だったが、向こうでキッドを取り逃したから日本まで来たということだった。

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