続・もし出会わなければ | ナノ
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▽ 4-6



Another side


「さっきの女性はお前の知り合いなのか?」


応接室へと向かう途中、おっちゃんが安室さんへと声を掛けた。


そういえばさっき安室さんとなまえさんが<ひまわり>の前で何か話してたっけ。


おっちゃんがなまえさんを見たのは今日が初めてだし、安室さんはなんと答えるのだろうか。


キッドのことを考えながらも、二人の会話に意識を向ける。



「ええ、よくポアロに来てくれてます」
「ちょっとしか見えなかったが、ありゃ別嬪さんだったな!」


なまえさんの姿を思い出しているのか、おっちゃんがへらりと笑った。


相変わらず美人に目がないねぇと思いながら、苦笑いを浮かべるオレをよそに安室さんはにっこりと笑顔を浮かべた。


「さすが毛利先生、女性を見る目が素晴らしいですね」
「ふふふ、そうだろう!」
「彼女は僕の恋人です。先生に褒めていただけるなんて光栄ですよ」
「なっ・・・・・・!!!!」



あんぐりと口を開けて驚きの声をもらすおっちゃんを、この時ばかりは少し気の毒に思った。


人当たりのいい笑顔を浮かべたままの安室さんを見ていると、不意に彼と視線が交わった。


悪戯っぽく眉毛をあげて笑う安室さんを見て、思わず乾いた笑い声が零れそうになった。



いつかの赤井さんの言葉を思い出す。



『君が思っているより、安室君は人間らしい一面があるということだ』



あの時は彼の言葉の意味がいまいちピンとこなかったが、今なら少しわかる気がした。


なまえさんと一緒にいる時の安室さんは、いつもより少しだけ雰囲気が和らいでいる気がした。


作られた笑顔じゃなくて、きっと本当の姿で彼女に接しているからだろう。




そんなことを考えている間に、オレ達は応接室へと辿り着く。



詳しい話を聞きたげに安室さんに話しかけようとしたおっちゃんだったが、その雰囲気が張りつめたものへと切り替わる。





キッド。



お前は一体何を考えているんだ。



オレは大人達に続いて、応接室へと足を進めた。

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