続・もし出会わなければ | ナノ
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▽ 8-9



原さんが殺された。

零くんからそれを聞いたのは、警視庁を訪れた数日後のことだった。


「コナン君達が第一発見者らしい」

いつもより遅めの時間に家にやってきた零くん。どうやら毛利さんの所に寄っていたらしい。


「コナン君達ってことは、他の子供達も?」
「あぁ。事件のことを調べて容疑者の家を周っていたらしい。たまたま原さんの家を訪れた彼らが拳銃で撃たれた原さんを見つけたらしい」
「・・・・・・っ、子供達は大丈夫なの?」
「警察で事情聴取を受けたようだが、今は皆平気だとコナン君が言っていたよ」


彼らが事件に巻き込まれなくてよかった。

そっとひと息つく。

けれどこんなにも立て続けに人が殺されるなんて、やっぱりあのツインタワービルには何かがあるのだろうか。


そんなことを考えていると、零くんがぽんぽんと自分の隣のソファを叩いた。


彼の隣に腰を下ろす。


「・・・・・・はぁ、本当は渡したくないんだが・・・」

顔を少しだけ顰めた零くんが上着のポケットから何かを取り出す。



『みょうじ なまえ 様』

手渡されたのは、私の名前が書かれた封筒。


「今度の土曜日にあるツインタワービルのオープンパーティの招待状だ。俺やなまえ、あの日ツインタワーにいた全員分が常磐さんから目暮警部伝いに毛利さんに届いたらしい」
「オープンパーティ?」
「あぁ。警察はパーティ延期を彼女にと求めたらしいが応じなかったらしい」

常磐さんは、勝気で気の強そうな女性だった。素直にその要請に応じないことも頷けた。


「危険があるかもしれない。不安なら参加しなくてもいいと毛利さんからも言われている」
「零くんは参加するの?」
「事件のことも気になるし参加しようとは思ってる。子供達や蘭さんも行くらしい」
「だったら私も行く」

私がそう言うと分かっていたかのように、零くんは困ったように笑った。


「そう言うと思ってたから渡したくなかったんだよ」
「私だけ待ってるのは嫌なの。零くんや皆の近くにいたい」


そう言うと、彼の腰に腕を回しぎゅっと抱きついた。

彼は右手で抱きついた私の髪を梳いてくれる。


「約束、ちゃんと覚えてるよな?」
「うん。覚えてる」


その手から伝わるのは痛いくらいに私を心配する彼の気持ちだった。


その後、零くんから事件の詳細について教えてもらった。


原さんの殺害現場にもおちょこが残されていたこと。

如月先生にはアリバイがあったが、風間さんや常磐さん、秘書の沢口さんにはアリバイがなかったこと。


警察は今後もまだ犯行が続くと考えていること。


色々なことが次々と起こり、上手く状況を整理できない私の隣で零くんは真剣な顔をしてなにかを考え込んでいた。

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