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Another side
彼女を部屋に案内したあと、書斎にあるパソコンを開く。
別の世界か・・・・・・。
そんな話を信じようとしているなんて、我ながらどうかしているな。
自嘲気味な笑みを浮かべながら、彼女について調べる。
突拍子のない話にも関わらず、あの子が嘘をついているとは思えなかった。しどろもどろになりながらも、真っ直ぐに俺の目を見て話してくる彼女を信じたいと思った。
みょうじ なまえ
調べていくと、同姓同名の1人の女性に行き当たる。
両親は幼少期に離婚、以来母親に女手一つで育てられその母親も大学在学中に病死。その後、親戚らの援助を受けつつ、無事に大学を卒業し学生時代からのバイト先であったアパレルショップに就職。恵まれた身の上とは言えないが、それ以外は特に特筆すべきことはなくどこにでもいる普通の女性だ。
どういうことだ・・・・・・?
別世界からきたというにも関わらず、みょうじ なまえという存在はこの世界にも存在している。
彼女が嘘をついているのか?いや、それにしては知りすぎている。俺やFBIのことだけでなくあのボウヤのこと、そして俺があの組織に潜入していた時のこと。当人でなければ知らないことも多々存在していた。
「考えていても答えはでないか」
明日になってまた詳しく話を聞いてみればいい、そう思いながらパソコンをそっと閉じるのであった。
あいつによく似た強い瞳で俺のことを見る彼女が自分と敵対することがないように・・・・・・、ついついそう願ってしまう自分がいることには気付かなりふりをした・・・。
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