▽ 1-7
「・・・・・・っ・・、・・・」
堪えきれずに私の目から涙がこぼれる。
「君はよく泣くんだな」
そう言いながらティッシュを持ってきてくれる赤井さん。
「・・・っ・・・すいません・・・・・・どうしたらいいか分からなくて・・・でも頼れる人もいないし・・・・・・っ・・・こんな話信じてもらえるわけないって思ってたから・・・・っ・・・」
鼻をすすりながらもらったティッシュで涙をふく。
「また詳しい話は明日話そう。色々あって疲れただろう、とりあえず今日はもう休め」
腕を引かれながら連れてこられたのは、ベッドとその脇に置かれたサイドテーブルに1人がけのソファなど最低限のもの以外置かれていない部屋。
「俺の使っていたベッドで申し訳ないがないよりはマシだろう、好きに使ってくれ。何かあれば俺はさっきの部屋にいるから声をかけてくれればいい」
そう言い残すと彼は、私に背を向け元いた部屋に戻っていく。
さすがにベッドを使わせてもらうのは気が引けるので、1人がけのソファに腰を下ろす。
最初に会ったのが赤井さんでよかった・・・・・。もし万が一にでもあの組織のメンバーと関わっていたらどうなっていたんだろう、想像しただけで背筋がひやりとする。
とりあえず話せることは全部話した、くよくよしてたって仕方ないんだ。いつ戻れるか分からない以上はここで頑張らなきゃいけない。
少しでも前向きになれるように・・・・・・赤井さんの「悪いようにはしない」という言葉を信じようと思った。
prev /
next