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▽ 1-2



とりあえずこの場で彼と話していても迷惑をかけるだけだと思い、一先ずお礼を言う。

「・・・・・・ちょっと飲みすぎたみたいでまだお酒がのこってるみたいです。今日はこのまま電車で帰りますので・・・。ご心配お掛けしました」

ちゃんと笑顔をつくれているのか心配になりつつも、そう伝えるとまだ心配そうな彼は非常階段の下まで送ってくれた。


「大丈夫だとは思いますが、この道を真っ直ぐ行くと駅があるので気をつけて向かってくださいね?」
「本当に何から何までありがとうございました。お仕事中なのにすいません」

丁寧に頭を下げ、彼に言われた方向に向かって歩く。


・・・・・・なんで?見覚えのある店や建物がない・・・・・・。この辺りはよく友人とも飲みにくるし詳しいはずなのに。

いつも使う駅に向かって歩いているはずなのに、両脇に広がるのは見覚えのない景色ばかり。


ここは・・・・・・どこ?
そうだ!電話!!なんで思いつかなかったんだろう。


鞄に入っていた携帯を取り出し、友人に電話をしようと電話帳を開く。


「・・・え?」

ない。電話帳からデータがなくなってる。電話帳だけじゃない。初期設定以外のアプリも全部消えてる。
・・・・・・どうして?なんで?


焦る気持ちをどうにか抑えてとりあえず駅に向かう。

「嘘でしょ・・・・・・」

目の前に広がる光景が信じられずに思わずそうつぶやく。終電ぎりぎりで駅に走り込んでいく人が多いなか、私は駅の前から動けずにいた。





《米花駅》





そんな駅名知らない。・・・・・・いや、違う。むしろ何度も目にしたことのある名前だ。


ただ実在なんてするわけがないんだ。だってあれは漫画の中の・・・・・・。



━━━・・・

━━━━・・・・・・

━━━━━━━・・・・・・



「なまえの家って本当に漫画とかたくさんあるよねー?・・・・・・うわ!懐かしい!コナンじゃん!」

つい1時間ほど前まで一緒にいたはずの友人が家に遊びにきていたた時の会話を思い出す。

「今ってこんなに話進んでるんだ!昔読んでたなぁ」

そう言いながら、懐かしそうにペラペラとページをめくる彼女。

「話も進んでるしキャラも増えたの!面白いから読んで読んで!」

彼女の前に数冊の漫画をもっていく。

「なまえは漫画とかが絡むと元気だよねー、その元気をもっと別のところに向ければいいのに」
「ただの漫画じゃないから!だって・・「はいはい、わかったわかった。その話始まると長いからいいって!」・・・・・ほんとに面白いのに・・・」

面白さを力説する私と、それを呆れたように笑いつつもちゃんと聞いてくれていた彼女をまるで昨日のことのように思い出す。


沢山ある漫画の中でも昔から集め続けた作品が名探偵コナンだった。今日読もうと楽しみにしてのも、他でもないコナンの最新刊だ。ずっとずっと大好きだったそんなコナンの世界。


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