▽ My treasure
「まぁいい。今度キュラソーがノックリストを奪う手筈になっている。そうすれば全てわかることだ」
結局この人は私の情報なんて最初からアテにしていなかった。
「他の男に惑わされる奴に用はない」
真っ直ぐに私に銃口を向けるジンの姿に、不思議と恐怖は感じなかった。
冷たく、けれども揺るぎのないジンの瞳。
ああ、私はきっとこの瞳は嫌いじゃないんだ。
この人みたいな強さがあれば私も彼を守れたはず・・・・・・。
結局私が何より許せなかったのは
弱い自分自身だった。
*
パンっと乾いた銃声と共に体の力が抜ける。
死ぬってこんなに一瞬なんだ・・・・・・。
段々と意識が遠くなる。
これで楽になれるんだ。
もう何も考えなくていい。
唯一心残りは、私と同じ色の瞳を持つ彼を守ることができなかった。
あの時も、今も、
私だけが彼に救われていた。
この気持ちが恋かと聞かれると、答えはわからない。
けれど彼の存在は私にとってかけがえのないものだった。
「・・・・・・会い・・・た・・・いな・・・」
────・・・・・・目を閉じると遠くで彼の声が聞こえた気がした。
Fin
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