ウタモニ

「なにをするの」

 ほんの少しの焦燥が含まれた私の声に、だらりと腕を下ろしたまま、彼は微笑んだ。

「早く鍵を」
「渡すわけないだろ?」
「どうして? こんなことしている時間はないわ。早くしないと更なる収容違反が――」
「もう、そんなのしなくていいんだよ」

 じゃら、と金属音が鳴る。私の足につけられた足枷に、ぐ、と眉を顰めた。
 目の前のウタもまた悲痛な表情を浮かべる。

「シラサキもお前も諦めない人間なのは知ってるさ。そういう人間相手にはこうするしかないんだよ」
「そうね、身動きをとれなくしてしまえばなにもできなくなるわ」
「そうだ、そうだよ――だから諦めてくれよ。このまま三人で過ごしてくれ……」


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