Patriot 13

 南の大陸に到着し一行はまずマイエラ修道院へ向かったものの、心象的にあまりよろしくない場所だった。
 教会とは敬虔的なものだと思っていたが、信者の願いは随分と俗物的である。世界平和なんて綺麗ごとを皆が皆祈っていてもそれはそれで胡散臭くもあるものの、一般的な町の協会とは随分と毛色が違う。どうやらこの空気の原因は修道院側にもあるようで、以前からの信者は騎士団長が代替わりしてから何かと寄付金を要求されて困るとぼやいていた。確かに高額な免罪符を販売したりときな臭いものを感じさせる。
 おまけに修道院を警備する聖堂騎士団の態度は眉を潜めるものがあった。彼らの上司であるマルチェロ曰くよそ者は問題を起こしがちだからと言ってはいたが、初対面から高圧的な態度をとるのは悪手だろう。神父もエイト達を見るや薄汚い旅人と吐き捨てるし、ハイネからしてみればそこらのチンピラと変わらない。
 マイエラ修道院は三大聖地の一つと言われているが、ろくでもない場所だとエイト達は近くにあるドニの町で夜をすごすことにした。
 ドニは小さな町で店もほとんどない田舎町だ。先代の領主が亡くなる前はもっと賑やかな町だったそうだが、先代は先代で金にも女にも汚く人望もなかったという。そんな片田舎で唯一夜中まで明るいのが酒場である。エイト達も今晩の宿をとった後、夕食をとりに酒場へむかった。ついでにドルマゲスの情報も得られるのといいのだが。
 酒場の客層は様々だった。地元の人に旅商人、柄の悪い男から聖職者の姿もある。神父がこんなところに来ていいのかと思うが、マイエラ修道院のことを想えば今更だろう。
 ともかく繁盛している店でとりわけ賑やかなのが、賭け事をしているテーブルだった。どうやら銀髪の青年はやり手のようで、相手の荒くれはかなりの額を巻き上げられているようである。

「随分と強いのね、彼って。」
「ああ、ククールのことかい?いつものことだけど、今回はちょっと心配だね。今日のカード相手は随分と喧嘩っ早そうだ。」

 その様子を見たハイネが言葉をこぼす、近くにいた女性がそう返した。ククールという青年は常連客で、この辺りでは名の知れた人物といったらしい。ただその評判はまちまちで、容姿端麗さから女性受けはいいもの、聖堂騎士らしからぬ振る舞いから男性からは恨みを買っているようだった。昔から彼を知る人物はゲームに勝ち続けている彼を心配そうに見ているようだった。そしてその心配は的中することになる。

「この腐れ僧侶!てめえ、イカサマやりやがったな!」

 荒くれが青年に掴みかかったのだ。

生臭僧侶
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