Patriot 08
リーザス村領主アルバート家の先祖を辿ると賢者、シャマル・グランマートルに繋がる。そんな由緒ある一族の青年が亡くなったとなれば挨拶にくる人も多いようで、突然の訪問だったエイト達もすんなりと屋敷に入れた。 アルバート家夫人アローザによる話から推測するに関所の惨状はやはりドルマゲスによるものだが、サーベルトを殺した犯人が彼によるものだと断言できる情報はなかった。一人塔に行って戻らないところを兵士が確認しに行ったところ、すでにこと切れていたのだという。
「アルバート家の家訓では喪に服している間は家人は外出してはなりません。娘であるゼシカにそういい聞かせたら不貞腐れてしまって、部屋に引きこもり顔も見せない始末。おまけに子供たちを見張りにつけて困ったものです。」
夫人の言う通り、ゼシカという少女の部屋の前には昨日の少年たちが立ちふさがっており、今は彼女の婚約者だという男ともめているようだ。兄を亡くして傷心中のところに明らかに下心をもった男の対応をしたくないというのも無理はない。
「辛いところお話ししてくださりありがとうございます。」 「いえ、そちらもマスター・ライラスの犯人が早く見つかるとよいですね。貴方の主君にも友を亡くしても気をしっかり保つよう伝えておいてください。」 「しかと伝えます。」
ハイネは婦人に頭を下げて彼女と別れた。 友人を殺された主君に犯人を捜すよう命令された体で、彼女は婦人に話を伺っていたのである。トロデ王とライラスに面識があるのは本当なので嘘は言っていない。 得られた情報に進展はなかったが裏打ちができただけよいだろう。あちらも何か得られただろうかと、手分けして聞きこみをしているエイト達と合流することにした。
一方エイトとヤンガスの方では重大なことが判明していた。マルクとポルクが見張っている部屋はすでにもぬけの殻で、ゼシカは単身で東の塔へ向かったのだ。メイドに頼まれゼシカに部屋に侵入したネズミを追い払いにいったトーポは、彼女の名前が書かれてた遺書を咥えていたのである。 たとえ顔も知らぬ娘だとしてもこのまま知らないふりをするのは目覚めが悪い。彼女まで殺されてしまう前に、彼らはハイネ達と合流して東の塔へ急いた。
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