Classical 03

 ポケモンリーグがスポーツとして盛んなガラルでは、チャンピオンやジムリーダーのみならず、ジムチャレンジャーにファンが付くのは珍しい話ではない。各応援団に応援歌やユニフォームがあり、ファン層の性別年齢をはじめ、それぞれの個性が伺える。それとは少々異なる方向で有名なのがエール団だ。
 スパイクタウンのジムリーダー・ネズを応援している彼らは、今回その妹がジムチャレンジに参加するとはりきっているようで、他の選手の妨害活動を行っているのだ。
 ターフタウンのヤローから最初のジムバッジをうけとったレイナもその被害にあい、連戦に勝利しなければ次のジムがあるバウタウンに行かせないと道を阻まれたのだ。
 ネズと同じく悪タイプの使い手である彼らは相棒のヤバチャにとって天敵だ。草ジムでも活躍したバタフリーで対抗するも、流石に連戦となれば体力的にきびしいものがある。
 そんなときレイナを助けてくれたのは同じジムチャレンジャーだった。

「あんたら何しとるん?」
「え……!?こ、これはその、ジムチャレンジャーが特訓したいといっていたので……。」
「特訓にしてはやりすぎだと思うけど。」

 エール団が絶賛応援中のマリィである。憧れの選手に注意されたエール団はそそくさとその場を退散していく。

「ありがとう、助かったよ。」
「うちのが迷惑かけていたみたいやしね。」

 お礼を述べるレイナにむしろこちらが謝罪しなければならないと返すマリィは、サポーターと打って変わって礼儀正しい。彼女も彼女で厄介なファンに好かれて苦労しているのだろうとレイナは心の中で呟く。

「注意はしているんだけど、うちを応援するあまり他の選手にきつくあたるみたいで……。」
「マリィちゃんがそれ以上謝る必要はないよ。エール団の言う通り、特訓になったのも本当だしね。」
「  !」「  ♪」

 申し訳なさそうな顔をするマリィに先ほどまでバトルしていたバタフリーとヤバチャも気にするなと声をあげる。それにマリィのモルペコも笑顔で応える。

「お詫びと言ったらなんだけど、傷薬とうちのリーグカード。」
「いいの?助かるよ、ちょっと待ってて。私のリーグカードも渡すから。」

 マリィから差し出されたそれらをレイナは嬉しそうに受け取り、自分のもカバンから取り出した。

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