ひまわり 02

 向日葵諸島はいくつものの島が連なった群島であり、ルーナの農園もいくつかのうちの一つにある。小さな島のため川はないものの、湧き水があるので農作業には問題ない(海が近いと湧き水があっても海水交じりであることが多いのがその心配もなかった)
 ともかくルーナの農園もようやく様になりはじめ、その日も花の出荷を行っていた。

「レイナは花以外のものは出荷しないのか?」
「あー、出荷するほどのものではないし……。」

 委託先でもある友人のナタリーの問いに彼女は苦笑を浮かべる。出荷用の花ほどにしろ、畑の片隅には野菜が育てられているが商品として育てたものではなく、品質もさほどよろしくないのだ。

「それにまだ花も一級品といえるほどのものは育てられてないしね。」
「まあ、何か一つを極めるのもありか。」
「そういうこと。」

 もちろん一つにこだわらずにいろいろ挑戦するのも手だ。むしろ天候不順などによるリスクを回避するにはそちらの方が良かったりする。ただレイナ一人ではあれもこれも手を出せるほどの体力も余裕もないだけだ。

「その点マルク君は凄いなあって思うよ。最近は動物も育て始めたっていうし。」
「牛と鶏のことか。これで収入がもっと安定するとか言っていたな。」

 きちんと育てればタマゴや牛乳はほぼ毎日とれる。その分世話をするのは大変だが、副産物が高く売れるのでコストパフォーマンスもいい。

「私も動物は好きなほうだけど面倒みきれる自信はないなー。」
「そうか?花を育てるのも手間かかるだろ。」
「生き物と植物だと全然違うよ。」

 花は勝手に動いて危ないものに近寄らないからというレイナにナタリーはなるほどとうなずいた。

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