08



「うわぁぁぁあああ」

「腕、痛ェ!離せ!」

「だ、だって神田くん!お、女の子、くび、回転…!」

「ただ回っただけじゃねぇか!」

「普通回らないよ!」


只今、ツタヤ(旧作100円セール)で借りてきたエクソシストを鑑賞中。しかしもう駄目です。私の精神的メーターが零を振り切っております。最初「俺は観ない」と言って出窓に座っていた神田くんは私の隣に座ってなんだかんだ言って私の心の支えとなってくれています。ホラー映画は、一人で観るものじゃないよね。


「ショッキングすぎる…。」

「よくできてるじゃねぇか。」

「よくできすぎて涙出てきた…。」


テレビの女の子は放送禁止用語を連呼し続けて、まずい、神田くんと観るものじゃなかったかなと思ったけど神田くんは興味あり気に観ているし私も止める勇気がなくて神田くんの腕にしがみ付いている。最初飛びついたときは「うぜぇ!」と弾き飛ばされたけどこれがもう二回、三回になると諦めてくれたのか何も言わなくなった。今じゃ全てのシーンが怖いので抱き付いたままだ。


「神田くんとこの悪魔こんな感じ…?」

「いや、もっと丸い。」

「丸い!?悪魔丸いの!?」

「つうかこんなもんじゃない。」


どうやら神田くんのところの悪魔とは違うみたい。神田くんのこと、もっと理解しようと思って借りてきたのに、あんま意味なかったみたい。いや、でも神田くんが結構食い付いて観てるからまぁ良しとしよう。


「エクソシストってハードな仕事なんだね…!」

「だから違うって言ってんだろうが。」

「いやぁぁあああやめてぇぇぇえ血がぁぁ!血がぁぁあ!!」

「うるせぇ!」


なんだかんだ言って私の腕を振りほどかない神田くんに優しさを感じた。


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