チョコボの為に








レガリアに乗った5人は討伐依頼や頼まれ事をこなしながらレスタルムと言う街にいるグラディオの妹、イリスに会う為への道を進む。
王都からなんとか逃げ出してこれたと聞いて、ブルーはなんだか自分の事のように安心してしまった。途中コルニクス鉱油・アルスト支店で車を降りてふらふらと歩いているとプロンプトがノクトに何やらお願いをしていた







「ねえノクト!近くにチョコボがいるんだって!見たくない!?」


「おいおい、レスタルムでイリスが待ってるんだぜ?」


「まだ先じゃん、ちょっとだけ寄ろうよ!お願い!」


『…チョコボ?』


「あ、ブルーはチョコボ知らないよね?すっごいふわふわしてて可愛いんだよー!見てみたいよね!?」


『…うーん、気にはなる…かも…でもイリスさんが待ってるし』


「少しだけ見に行くか」


「おおー!ありがとうー!ちょー楽しみ!」


ノクトから許可が降りるとプロンプトは大はしゃぎしていた。まぁ、王都じゃ会えないし少しくらい仕方ねぇなぁとなんだかんだグラディオも少しチョコボを気にしているようだ。
チョコボポスト・ウイズと言うところにチョコボはいるらしく今いる場所からからそこまで離れてはいなかった。車で再度移動し到着するとなんだか独特の匂いが鼻につく…これがチョコボの匂いなのか?とブルーは首を傾げていた








「すみませーん、チョコボ乗りたいんですけど!」




プロンプトがチョコボに乗る交渉をしている間にチョコボポストウイズを詮索する。売店が側にあり気になった為お店を覗くと「人間も食べられる!ギザールチップス!」と言う名前のお菓子があった、名前#は人間もチョコボも食べられるのか…チョコボとは一体どんな生き物なんだろう?…と考えているとグラディオに呼びかけられる






「おーいブルー、行くぞ」


『あれ、チョコボは?』


「近くにベヒーモスっつーモンスターがいて、そいつを倒さないと危険だから出せないらしくてな。これから退治しに行くみてーだ」


『なるほど』





ベヒーモスの住処はここから近いらしく、徒歩で向かうことになる。ゴツゴツした岩が沢山ある道を歩きながらベヒーモスとは一体どんなモンスターなんだろう…と考えを膨らませていた時だった、森の方から急に獣のような生物の雄叫びが聞こえる





『…凄い鳴き声…』


「ベヒーモスかもしれないな、慎重に行こう」






イグニスが皆に声を掛けて、奥へ奥へと進む。奥まで行くと段々と周りが霧に覆われて来て逸れないように進むと、途中でトタン屋根とコンクリートの継ぎ接ぎのような小さなトンネルが現れる。
通ろうとするとまた獣の唸り声が聞こえ、先頭にいたノクトをグラディオが後ろにやるとゆっくりついてこいと合図をし、ゆっくりとトンネルを通って行こうとした時だった。
トンネルのすぐ隣にベヒーモスが歩いて来て、キョロキョロと辺り見渡しているではないか



ベヒーモスは足元にあった何かをグチャグチャと無造作に食べ始めた。うっ、と胃から込み上げる吐き気を抑えてまた慎重に進み始めた途端、グオオオオ!と大きな声をあげてベヒーモスがトンネルの隙間から口を突っ込んで来た。ひええと声を出したくなるが我慢してその場を凌ぐと、ベヒーモスは何処かへ去っていく…トンネルを抜けると、プロンプトが大きなため息をついていた







『…あれがベヒーモス…』


「ブルーがいた世界には、ベヒーモスみたいなのはいたの?」


『うーん…いるにはいるけど、野生ではあんまりいないかな…ちゃんと管理されてると言
うか…あんなに大きいのは珍しいかも。』





ブルーは色々と生物を思い浮かべるが、いまいちピンとこない。大きい生物や不思議な子達を考えるとハグリッドを思い出した。ハグリッドだったらヘビーモスみたいなのもうまく扱って手懐けるんだろうか…?育てられるのは素晴らしいが、そのうち食べられてしまうんじゃないかと思ってしまう…先程ベヒーモスを目の当たりにした時は正直勝てる気がしないくらい怖いし大きかった




バレないようベヒーモスを追って険しい森の中に入って行くと、やっと住処の様な所を発見する。辺りは広々としているが廃屋の様な建物もあった




「ここが住処なのかな?」


「おそらくな…」


「気を抜くなよ」




キョロキョロと探していると急に咆哮が聞こえて振り向く、そこにはベヒーモス…片目を失ったスモークアイがこちらに向かって突進して来ていた。間一髪のところで全員が避けたが、またすぐに攻撃を仕掛けて来る


「…っくそ!」


「ノクト、気を付けろ!」


「気を付けろっつったって…!プロンプト!!」


「プロンプト危ねぇ!」


「っ!?」


『…プロテゴ!!』






スモークアイが暴れ、プロンプト向かって尻尾を振り回す。勢いよく向かってくる巨大な尻尾に避けきれないと判断しプロンプトは目をぎゅ、っと閉じるが寸での所で尻尾は透明な壁にぶつかりバンっ!と言う音を立てて落下するとその衝撃で保護呪文の壁も破壊され、砕け散った





「助かった〜!ブルーが神様に見えるー!」


『プロンプト前!前!』


「うわあああ!」



間髪入れずに攻撃が激しくなっていく、近距離戦だと危険なのでノクトお手製のマジックボトルを投げるが少し怯む程度であまり効いてはいないようだった。
石油の入ったドラム缶がそこらじゅうにあり、うまくスモークアイが側にいる時に爆発させようとするが中々当たらず苦戦を強いられる。逃げる事で精一杯になり、あまり長期戦に持っていくと皆の体力が持たなくなると思った時だった


「ブルー!危ねぇ!!」


『っ!』


「ノクト!シフトしろ!」


「分かって…!」


『ノクト待って!』



シフト、それはノクトが瞬時に移動する技だ。   
それを使ってブルーを助けてくれようとしているのが分かった。ノクトの声に振り向くとスモークアイが勢いよくこちらに向かって走ってくるのが見える
先程は尻尾だったからどうにかなったがあれだけ大きいと保護呪文じゃ守り切れるか分からない、でもこのままではダメだと思った時、ブルーは一つの賭けに出た。
ノクトに止まるよう声を掛けると、助走をつけてスモークアイ目掛けて全力で走り出す。
それを見ていた皆は声を張り上げた




「ブルー何して…!!」


「駄目だブルー!」


「逃げろ!」





ギリギリまでスモークアイに向かって走る。
突進される直前にブルーはスモークアイの胴体の下をザザザとスライディングで滑り抜け、胴体の真下に来た瞬間杖をスモークアイの腹に向け全力で呪文を唱えた




『コンフリンゴ!!』



ボンッ!と大きな爆発音と共に煙が立ち込める。
スモークアイは苦しみの様な鳴き声をあげると大きな身体を横にしてその場に倒れ込んだ。煙が舞う中少し離れた場所でブルーが座り込んで咽せていると急いでノクトがシフトして駆けつけてくる


『ゲホッ、ゴホッ…うええ口に砂入った…!』


「馬鹿!何危ねェ事してんだ!」


『ご、ごめん…咄嗟に思いついて…』


「まぁまぁノクト、確かに危ないけどブルーのお陰で倒せたんだし」


「いつもは俺がお前に怒ってるのに今日は立場が違うなぁ、ノクト」


「俺とブルーとじゃ全然違うだろ」


「いつものノクトが今日のブルーみたいなものだ。危ないと思うなら、これからは慎重に
行動してくれ」


皆が集まって来るとブルーの服に付いた泥や汚れを手でイグニスが払ってくれる。
ポーションで所々に出来てしまった擦り傷や切り傷を治すと言ってくれたが、大した事が無かったので使わなくで大丈夫だと伝えた


「ブルーも、今日は助かったが今後は無茶をしないで欲しい。」


『はは…気をつけます』


「スモークアイも倒せたし、ウイズさんに報告しに行こうよ!」


「そうだな」


「もう時間も遅い、今日は側にあったモービルで休もう」


「やったー!シャワー浴びれるー!」


『ノクト、行こう』


「…ん」


『…?』


「どうしたブルー、行くぞ」


『あ、うん…』




ノクトがこちらに歩いて来なかったので呼びかけると確かに返事はしたがなんだか態度が今までと違う様な気がした。
気のせいかもしれないが、なんとなくモヤモヤと気にしてしまう。
グラディオに呼ばれ慌ててついて行くと、5人は足早にチョコボポストウイズまで戻った。












(なーんとなくノクトの機嫌悪くない?)
(さっきのアレだろ、)
(あーなるほど、まぁブルーは女の子だしね)
(一歩間違えれば即死だからな)
(心配した、って言えば良いのに)
(相手が女性だと恥ずかしくて言えねーんだろ?)
(初だなぁ、ノクトは)
(それはお前もだろプロンプト)
(お前ら全部聞こえてるからな)
((あ))





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