巨神との対峙






ノクトがレガリアを運転し、カーテスの大皿へと向かう
時々痛む頭にブルーは顔をしかめていた






「ブルー、まだ痛む?」

『凄いって程じゃないんだけど…』


でも痛い、かな。と苦笑いしながら答える
我慢出来ない程ではないけど平気とも言えなかった




アーデンの車が速度を緩めるとコルニクス鉱油カーテス支店へとゆっくり入って行く
レガリアは中には入らず、入り口で一度ブレーキを踏んだ





「今日はここで休むか」

「おい、目的地はどうなったんだ?」

「焦らなくても逃げないよ」



「…これさ、5人で旅行状態だよね」

『今日は一緒に野宿か…』


この人と一緒に野宿、仕方ないが正直物凄く嫌だった。

テントを立てようとすると、アーデンが外は嫌だからとモービルキャビンで休むことになる


夜も更けてくるとキャビンの外にある備え付けのテーブルで雑談をしながら一休みしていた
プロンプトはアーデンの写真を撮ったりなんかしていて、プロンプトのコミュニケーション能力は凄いなぁと感心してしまう。


アーデンの側にいるのが苦手なブルーはさっさとキャビンで休もうといそいそと中へと入って行く





『イグニス、私先に休むね』

「ああ、病み上がりだからその方が良いだろう。おやすみ」

『ん、おやすみなさい』





キャビンの中に入り巾着に手を入れるとラフな格好を取り出して着替える。自分の寝る場所へ行くとのそのそと布団の中に潜り込み寝る態勢になった


今日は一段と疲れた気がして、目を閉じるとすぐに夢の中へと入りこんで行ってしまった

















翌朝、アーデンの車を先頭にカーテスの大皿を目指す。








「ブルー、眠かったら寝てていいんだぞ」

「着いたら起こしてやるよ」


『…ん』



頭が舟を漕ぐようにふらついている姿を見てイグニスが声をかけてくれる。今日はなぜだか、朝から凄く体がだるくて起きるのもやっとだった


グラディオが肩貸してやるから、と言うと頭を優しく引かれ彼の肩に寄りかかると車の振動がいい感じに心地よく感じて、瞼を閉じると数秒で意識を手放した












「おい着いたぞ、ブルー」


『…んん』



頬を優しく突かれる感覚にうっすらと目を開ける
お日様の光が眩しくて、目をぎゅっと瞑ってからゆっくりとあけた



『ここ、もうカーテスの大皿?』


「ああ、帝国が管理しているらしくてな。もう少し奥まで行く所だ」




レガリアでギリギリ進める場所まで行き、途中で降りて歩いて進むことになる。
瓦礫だらけの道を進み、行き着いた先には王の墓所があった



『こんな所に…』

「危なすぎでしょ」



ノクトは墓に近づいて手をかざすと光に包まれ、武器の力を手に入れることが出来た。
すると突然、大きな揺れが始まりそれと同時に酷い頭痛が襲ってくる。頭痛のせいで身動きがとれず、ノクトが立っていた足場が崩れると瓦礫と共に下へと落下して行く。急いでグラディオが後を追って降りて行った


『っ、…ノクト…グラディオ…!ぐっ…』


「落ち着け、二人なら大丈夫だから無茶をするな」



酷い頭痛で魔法を唱えるのもままならない、2人を魔法で助けようとするが頭を抱えるブルーに側にいたイグニスが駆け寄り静止した。イグニスの言う通りノクト達は無事で、降りた地点で合流する事になった



「ブルー、歩ける?」

『だいじょうぶ…』


ズキンズキンと痛む頭を押さえて、2人と共に降りる道を探して降って行く。進むうちに空を飛ぶ大きな艦隊を見つけると、指を刺した



『イグニス、あれ』

「帝国兵か…!ノクトに電話が繋がればいいが…」


プルルッと何回かコールをするとなんとか繋がり帝国兵がいた事は伝えられたが、雑音が多く直ぐに切れてしまいすぐにまた地震が襲ってきた。かなり揺れたかと思うと激しい頭痛がまたやってきてその場に跪く




『っ、あっ゛…!ぐっ…』

「ブルー!」

『…ぅ…あっ…!』







キーーーン、と耳鳴りのような音が聞こえると頭の中で、声が聞こえる







(オ マエ、ハ ワタシ ノ   ブン シ ン)









『…っ、ぶん、しん…?』



ドクン、と心臓が高鳴り目を見開く。分身、そう言いたいのだろうか…分からない、でも今はそれどころでは無かった




『ごめん、もう大丈夫…』

「まだ痛むようなら無理に動くのは…」

『…大丈夫、本当に大丈夫だから』

「…わかった、行こう」



納得していなさそうな二人を説得して下へと続く道を探しながら歩くと、途中で巨神が動き出したのが分かる。
ノクトとグラディオが巨神相手に戦っているようだった
崩れて行く道をかわすと、無事にノクトと合流する事が出来て共に戦闘態勢に入る



「遅くなった!」

『これ、倒せばいいの?!』

「ああ!頼む!」



巨神が此方目掛けて拳を振り下ろしてくると、拳に向かって杖をかざす



(震えてない…今なら!)


『ボンバータ・マキシマ!』


ボン!と大きな爆発音と共に巨神の拳の一部が砕ける、それでも向かってくる攻撃にノクトがガードをして跳ね返す。巨神が怯んだ隙にイグニスに続きプロンプトとグラディオがマジックボトルを投げると、巨神が一瞬で凍り付く。その瞬間にノクトは巨神の拳に剣を振りかざしブルーは呪文を唱えた





「終わりだ!」


『レダクト!』





二人の攻撃が命中すると巨神の腕は粉々になり、動きが止まる。終わった、そう思うと巨神は地響きのように大きな声を上げた。一瞬ノクトが苦痛の表情を浮かべ頭痛を訴えると顔を上げ巨神に話しかける。いつも同じタイミングのはずなのにブルーには痛みが感じられ無かった




「お前、ルーナと話したのか?だから俺を…!」


巨神に問いかけるノクト、だが巨神は凄まじい光と共にその場から消え去ってしまった







巨神がいなくなると地面がどんどん崩れていきマグマで覆われて行く


「かなりやべぇな」


グラディオが安全な道を探し出そうとするが行き場がなくなり立ちすくむ。その時上空から突風が吹いたと思うと帝国軍の戦艦がこちらに近づいて来る
扉が開くと現れたのは先程案内役をしたアーデンだった






「おーい 無事?」



誰も彼の問いに答えることはない、いや…なんて答えるべきか分からなかった




「オレの名前さ、別に略してなかったんだよね アーデン・イズニア…本名」



「帝国の宰相…!」


「そうなんだよ、でも今はさ…助けに来たんだ」




助けに来た、その発言に皆警戒をすると苦虫を噛み潰したような顔になる…こいつの言葉はどうしても信用ならなかった。




「ここで捕まえたりしないって どうする?選択肢は二つ――生きる?」




ニヤリ、とアーデンが薄気味悪い笑みを浮かべ問いかける



「それとも 死ぬの?」




「…とりあえずここでは死ねない、行こう いいなノクト?」


「っ…分かった」




アーデンの提案に乗るしかないとついていく選択肢を決める
今はただ、信用できないアイツについて行くしかない…覚悟を決めるとブルーは帝国軍の戦艦へ向かう皆の後をゆっくりとついていった



















(アイツは、俺達をどうするつもりなんだ)
(拷問とかされるのかな)
(なんとかここから脱出しねーと)
(ブルー、なんか良いアイディアないかな?)
(…無くはないんだけど、腕ちぎれちゃうかも)
(…遠慮しておきます)









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