マーキング
「なまえちゃん…」
『やだよ…!秋山さんとさよならしたくないよ……』
鼻にかかる甘い匂い
それはキャバ嬢がつけてるような香水の匂いではなかった
だめだ、こんなことしたら
「はは、なまえちゃんもまだ高校生だね」
『子供扱いされてもいいもん!』
そう言いながらもっとしがみついてくる彼女を可愛らしいと思ってはいけないだろうか
そんなことされたら、抱きしめたくなるのに
肩を押しても離れないなまえ
『…私、秋山さんから見たらまだ子供かもしれない』
「え?」
『私、秋山さんが好きなの』
耳を疑った
「でも、なまえちゃんは高校生で俺はいい歳したオジサンだよ?なまえちゃんはいいの?」
『好きになっちゃったんだもん』
彼女の言葉にはっとした
俺は何度も恋愛をしてきて、そうやって気持ちに壁を作ってしまったのかもしれない
なまえちゃんは素直だ
『秋山さんの気持ちもきかせてよ…』
そんなの、答えは決まってる
彼女をぎゅっと抱き締めた
今までにないくらいに
「俺も好き。好きだよ、なまえちゃん」
『あ…きやまさん…』
彼女は涙を流した
俺はその涙を掬ってやった
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