なにやら噛み合わない会話



なんてこった。

まさか大串くんは大串総悟くんではなく沖田総悟くんだったなんて…………


もはや名前を呼ばせてすら貰えないのか私は。







「……………はぁ……」

「おいおい、スナックで客が吐くため息は聞いたことあるが、従業員が吐くため息は聞いたことねぇな」

「なんとでも言ってください。私いま元気無いんですから」

「なるほどな。じゃあこの手はなんだ。」



おや。

夜になってお登勢に訪れた銀さんはいつもの席でお酒を飲んでいたが、
どうやらまだ酔いは回っていないようだ。

ため息着きながら銀さんのほどよい大きさの胸をまさぐる手を指摘されてしまった。



「…ごめんなさい」

「…………ホントに何したんだよ」

「私がした側なんですね。"何あったんだよ"じゃないんですね」

「したんだろ?」

「はい、しました……」




したんだよなぁ…?

したからおきた……大串くんは私に名前呼ばれること嫌なんだよなぁ…?

まだ何かしたと言う心当たりが無いから、もう会話だけで苦手な人種のジャンルに分けられてしまったんだろうなぁ。



「銀さんはどうしてセクハラされても私と口聞いてくれるんですか?」

「無視しても付きまとってくんだろお前」

「さすがにそこまでじゃないですよ。嫌われてるって気づいたら身を引きますよ。」

「ほーん」

「信じてないな??」



ホントだかんな。

だからなるべく新八くんを町で見かけても声かけないようにしてんだかんな。


あの子私のこと嫌ってはないだろうけどなるべくなら2人で会話するのは避けたいと思ってるだろうし。


神楽ちゃんはなんだかんだ言って懐いてくれてる気がする。

口が悪いだけで。



銀さんは酔って素直になった時に拒絶してこないから嫌われてないどころか、なんとなく許してくれてる気がする。




「………うーーーーん。なんとなく……目が合ったこと無い気がするし……名前教えて貰えなかったし………」

「おいおい、ホントに何したんだよ。めちゃくちゃ嫌われてんじゃねぇか。」

「まだ何もしてないですよ……甘味奢らせて欲しいとかしか言ってないし……」

「そんなんで引くような殊勝なヤツ、この江戸に存在したんだなぁ?」




この際、どうしてだろうとかはどうでもいい。

就職したばかりで辞めるわけにもいかないし、

そんな名前も教えられないような相手の作ったご飯を食べるなんてストレスをためる行為を続けたくも無い。

なんとか、今よりは好感度を上げて貰え無いだろうか……

今から好きになって貰うのはまぁ無理だとしても、食事を安心して食べられるような関係にはなりたい。




「そういえば、なんで大串なんだろう??」

「あ?大串?…………あーアイツか。」

「はい。銀さんもよく会ってる彼です。どうやら私嫌われてるみたいで、名前も教えて貰えなかったんですよ。

聞いたら"大串"って名乗ってたので……なんで大串なのかなと。」



佐藤とか鈴木とか、よくある名前出てくるならまだしも……



「俺が名前思い出せなくて適当にそう呼んだ」

「銀さんが名付け親だったんですね。」



しかも名前思い出せなくてって……なんちゅー不名誉な……




「アイツかー。たしかにまぁ、お前好きそうだな」

「はい。顔も声も体もめちゃめちゃいいですよね。特に髪がストレートなところとか」

「オイなんで今それ最後に言った??嫌みか??俺に対する嫌みか??」

「いやそもそも髪結構好きなんですよ。撫でたくなるじゃないですか、ストレート。」

「俺の天然パーマも存分に撫でてるじゃねぇか」

「モフッてるんですよ。」




顔はかわいいかわいいベビーフェイスで地声もそんなに低くない、そんなかわいい詰め込んだような見た目なのに

体ムキムキなんだよね、大串くん。

めっちゃギャップ萌え。あれ、ギャップ萌えって死語?まだ大丈夫だよね??教えてJK達。




「はぁあ……お妙ちゃんに言われるまで名前知らなかったんですよ?今日知ったんですよ?悲しくないですか?
私ずっと話してたんですよ?ずっとナンパしてたんですよ?
仲良くお喋りしてたのに名前訂正して貰えなかった……これもう嫌われてるじゃないですかぁ……」


「あー、そだな」


「ちょ、ハナクソ飛ばさないでくださいよ。何気にハナクソって掃除大変なんですよ。」





銀さんあんまりお酒進まないなぁ。全然酔わない。

それどころかハナクソほじることに夢中だ。

乙女の真剣な悩みになんて態度だ。




「……公務員捕まえたいたぁ大した悩みだ」

「そんなんじゃないですって。私はただご飯を安心して食べてほしいだけなんです。」

「あ?飯?」

「言ってませんでしたか?私、真選組の食堂を任されたんです。朝だけですけど。」

「………ほーん」



そういえば、お登勢さん以外には朝のバイト始めたこと伝えてなかったな。

はっ!!!これもしや私が町中で大串くんナンパしたみたいじゃない!!



「そうですよ!お仕事で会ったんですからね!!ナンパじゃないですからね!!それで引かれたとかじゃないですからね!!」

「なんも言ってねぇだろ。」

「だって今の話完全に公務員ナンパしてなんで嫌われてるんだろうってバカみたいな悩み相談してるみたいじゃないですか!!」

「いやどっちかっつーと…」




"普通に恋愛相談に聞こえた"



最近恋ばなばっかだな。








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