お名前判明



お妙ちゃんは可愛い。


「見て見て!雪乃ちゃん、神楽ちゃん!」

そういってなんだか変なぬいぐるみを手にとって可愛いと笑うお妙ちゃん。

可愛い。



お妙ちゃんは美しい。


「あら、この時期に珍しい花だわ」

花屋の前でそういって花に顔を寄せるお妙ちゃん。

絵画のように美しい。



お妙ちゃんは…………



「あらやだゴリラが町中を歩いているわ!誰か!猟銃を持ってる方はいらっしゃいませんか!?」

「おおおお妙さん!?勲です!!貴女の勲ですよお妙さん!!」

「きゃあ!!襲いかかってくるわこのゴリラ!


さっさと動物園にでも帰りやがれェェエェエ!!!」


「ぎゃふっ!!!!!!」



…………強かった。





まさか局長がお妙ちゃんのストーカー……だったなんて……

やはりお顔立ちのいい方にはいくつか欠点があるものなのね……近藤局長の場合は、人の愛し方だろうか……



タイミングよく土方副長から着信が入り、近藤局長の所在を知らないか聞かれたので正直に答えると、

土方副長が回収に向かうらしく、そのままにしておいていいとのことだった。


…………いいのだろうか…





「姉御ーー!どうしたアル………ああ、ゴリラアルか。」

「えっ神楽ちゃんも知ってたんだ!?」



ちょうど現れた神楽ちゃんは慣れているのか一瞬で状況を把握して、"さぁ行こう"と買い物へ促した。


すみません、近藤局長……

土方副長すぐ来ると思うんで……失礼します。


心でそう陳謝した後、お妙ちゃんと神楽ちゃんに追い付くよう小走りで2人の後を追った。









それからはしばらくウィンドウショッピングだ。

神楽ちゃんは銀さんからお給金を貰っていないし、

お妙ちゃんも道場復興や生活費で余計なことにお金はなかなか使えないようで、


私たち三人が集まると、お金を使うのはだいたい喫茶店でお茶を飲むくらい。

そのお金すらない神楽ちゃんはいつも私が貢いでいる。


美味しそうに食べる神楽ちゃんは超絶美少女で眼福なのでその程度の金、どうということはない。

むしろ、神楽ちゃんは苦手な私とお出掛けする理由はこれにあると最近考え始めた。




「え、じゃあ雪乃ちゃんの新しい勤め先って真選組なの?」


「うん!あっでも危なくないよ!食堂でご飯作ってるだけだから!」


「そうは言ってもやっぱり心配だわ。
ゴリラとかゴリラとか………あとそう!ゴリラとか!」


「お妙ちゃんは真選組をゴリラ専門の動物園だと思ってるの??」


「あとニコチンマヨラとかクソサドチワワとかナ」


「神楽ちゃんは真選組を珍獣の森だと思ってるの??」



ゴリラは多分近藤局長を指しているんだろう……さっき神楽ちゃんそう呼んでたし。

ニコチンマヨラ…?

クソサドチワワ……?


誰だろうか……まだ私は会ったことない人かな?



「で、でも皆さん素敵な人達だったよ!主に顔面が!」

「お前顔しか見てないアルな」

「だって眼福なんだもん……」

「あらぁ…じゃあ銀さんじゃなくて真選組の方の方がいいんじゃないかしら?公務員だし!」

「え、急に銀さん??」



なぜこのタイミングで銀さん……推し変しろと??


た、確かに大串くんの方が顔は好みだけど……いや、土方副長も捨てがたい………


でもなぁ、パンツ盗んでも許してくれる(許されてない)の、銀さんしかいないからなぁ。




「でも姉御。この前コイツ、クソサドチワワの方が好み言ってたアル」

「あら!確かに顔立ちは可愛いものね!お似合いじゃない!」

「えっ誰すかクソサドチワワ。」

「沖田さんよ!
そう…やっぱり働き者の雪乃ちゃんにあの男はもったいないと思ってたのよ!

よかったわぁ!ちゃんとした職業の方に出会えて!」


「え、お妙ちゃん……」


「姉御ぉアイツ確かに税金泥棒だけど性格が最悪ネ」

「神楽ちゃん。男の人を選ぶ基準は顔でも性格でも無いわ。やっぱり安定した収入よ。
それさえあれば何だって妥協できるわ。」


「お妙ちゃん!」


「?なにアル騒がしい」

「どうしたの?」







「"おきたさん"って、だれ??」


「「はい?」」








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