酔っぱらいは心臓に悪い



「最近皆恋ばなに結びつけますね。そんなに私に所帯をもってほしいんですか?」

「それはどうでもいいが…皆?」

「お妙ちゃんとか、この前のさっちゃんとか。」

「その手の話題に飢えてんだろうよ。行き遅れのアバズレどもだからな」

「銀さんもその中に入ってるので、銀さんも行き遅れのアバズレですね。」



お妙ちゃんやさっちゃんのような美人になんて口の聞き方だ。

というかよくよく考えたら私の周りの美男美女全員恋人いないじゃないか。
どこかくっつかってくれないだろうか。


………なるほど。お妙ちゃんもこんな考えだったのかが


"行き遅れのアバズレ"扱いを受けた銀さんは半分怒りながら手元のお酒を一気にあおった。

新しいお酒を注ぎながら、お妙ちゃんたちとの話を思い返し、銀さんに話す。



「お妙ちゃんもどうやら私が銀さんを好きだと思っているのか、
真選組に就職したことを伝えたら"銀さんより公務員の方が安心"とか言い出すんですよ?
銀さんと大串くんを比較して、大串くんの方が"マシ"だって。

まったく、大串くんに失礼ですよね?」


「いやどう考えても銀さんに失礼だろうがクソゴリラども。」




はて。
今の話のどこが銀さんに失礼だったのだろうか。

全然わかりましぇん。

銀さんはよほど気に触ったのかブツブツと文句を言いながらどんどんとお酒を進める。

すねちゃった。

これ以上は相談聞いてもらえないかなぁ。


まあいいや。なるべく大串くんの機嫌を損ねないようにして、
大串くんが自分で名乗ってくれるまでは呼び方このままでいよう。



「…………んで、お前はどうしたいんだよ」

「えっ」




銀さんはお酒で赤くなった顔をこちらに向け、半目で睨みながら
私の話の続きを促してきた。

ちゃんと聞いてくれるんだ。


私はなんだか嬉しくなって、笑いが押さえきれず溢れる。

モフモフな銀さんの髪を撫でながら、自分の望みを溢していく。



「わがままを言うなら、大串くんと仲良くなりたいです。
ですが大串くんが私を生理的に無理って思ってたらそれは難しいですし、無理矢理仲良くなっても大串くんの負担になるだけです。

私の仕事は朝食をメインに真選組の方々をサポートすることなので、それは嫌なんです。」


「………ん」


「だから何したいっていうよりは、私にできることを精一杯やるしかなくて、だから…」


「………じゃ、また何かあったらこうやって愚痴ってガス抜きしろ」





だんだんと手元の酒瓶に落ちていた視線が、

赤らみながら優しく、ちょっと意地の悪い微笑みを浮かべた銀さんの方にあがった。

少し驚いて、髪を撫でる手が止まる。





「………きいてくれるんですか、愚痴」


「金くれるならいくらでも聞いてやるよ。万事屋だからな。」

「金取るのかーーーー」




気づいたらゲスい笑みに戻っていた銀さんに何故か少し安堵した。

そうだな。

銀さんに話した通り私にできることは限られてるし、どうしようもない。

なら捌け口でも作れば少しは楽だ。




ただ、さっきみたいな表情はなんだかよろしくないので、

銀さんばかりに頼るのは少し遠慮しようかな。








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