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「………わっ…わああああああああ!?」





怪我が治った。





いつもの通りオールマイトの動画を見て大興奮。
興奮を体で表現していたら椅子から落ちて肘を擦りむいた。

いやこれ血があんまりでないけど痛いやつや。
と痛みに耐えて拭くものを探そうとしたとき、"シュゥゥゥゥ"という音が聞こえた。

え、なんぞ。と思い音の出所である肘を見たら先ほどの傷が治りかけていた。



「…どうしたんだ!!」



バンッと店の出入り口から入ってきたのはオールマイト。

店に入る途中で私の声が聞こえ慌てて入ってきたんだろう。



「どうしたのナマエちゃん!」



母も朝の仕込みを切り上げてホールに戻ってきた。

倒れる椅子の傍らで涙目で肘を見ている私を見て、二人は怪我が無いか体の隅々を見渡した。

推しに体を見られるのは恥ずかしいが、今はソレどころじゃない。



「…………こせい、でた」

「「え」」

「けが、なおった」



「「えええええええええ!!!」」






今だ煙をあげて治り続ける肘を見せると、二人はさらに慌て出す。

オールマイトは慌てる母に、直ぐに病院で検査をさせるように進言する。

事のあらましを聞いた店長も、母の休みを許可して私たちは病院へと向かった。



「やぎさんこないの?」

「八木さんは来れないわよぉ。それより早く病院行かなくちゃ」

「やぎさん…」

「すまない…今はナマエちゃんが心配だから、早く病院で診てもらってくれないか?」

「………うー…」




タクシーに乗ってオールマイトとの別れを惜しむ私。

だってオールマイトに会えるのは二週間に一回程度の貴重な邂逅なのだ。
無駄にしたくない。


オールマイトは私の頭を撫でて、優しく笑う。



「明日また来るよ。」



……………抱いてくれ。




にっこりと笑うオールマイトに私は無意識で小さく頷く。

いやもうこれは惚れました。
この人生の初恋は確実にあなたです。すき。

また一枚オールマイト笑顔特集の下手くそな絵が私の部屋の宝箱に保管されてしまう…


やっと離れた私を一瞥し、タクシーの運転手は発進した。

離れていくオールマイトは私の視界からいなくなる最後まで手を振ってくれた。

なんてファン想いなんだ大好きだ。





病院に着くと、さまざまな検査が行われた。



結果として私の個性は、本当に本当に単純な治癒系の個性。

個性名、"治癒"

手をかざした部分を治せる。


手より大きい物は治せない。


といった物らしい。



助かる覚えやすい。




…………だが1つだけ疑問がある。

さっきから私が左手で"1"と人差し指を立てると出てくるこの丸いダークホールのような黒い物はなんだ。


めちゃくちゃ小さい穴のような物は、明らかに個性の物だ。



これを結果を言い渡した医者に伝えたところ、
個性診断結果は一変した。



個性名「ダメージストレージ」

怪我等のダメージを治し、保管する。
左手の人差し指でソレを操り、任意の物や人にそのダメージを与える事ができる。




何に使えるんすかソレ。


人や物傷つけるだけ傷つけて自分無事って敵側なら最強だが日常生活でも使えないしヒーローだとしても一回ボコボコにされないと戦えないじゃないっすか。

くそ、なんだよ没個性くそ。

普通の治癒系の個性が良かった。

他人の怪我も治せるだけマシか?



とりあえず明日オールマイトに愚痴ろう。




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