「きゃー!たすけてー!」
「もうだいじょうぶ!!!わたしがきた!!」
見事転生を果たし、父母となる二人が美男美女で私の将来はウハウハだと確定してから早3年。
さらに言うと、この世界が「僕のヒーローアカデミア」の世界であることが分かってから早3年。
だってベビーベッド向かいのテレビにオールマイト映ってたんだもん。
我が推しオールマイトがテレビに映ってたんだもん。しかもリアルで。
そんなんもうここがヒロアカ世界である証明じゃない。
両親もなんかよくわからん不思議な力使ってるし。
完全に個性じゃん。
と、まぁヒロアカ世界であるからにはEnjoyするしかないっしょ。
最初は動揺したけど正直オールマイト会いたいし。
そして素晴らしいことに気がついたのだ。
今までの世界はオールマイト推しが果てしなく少なく、モチーフのぬいぐるみなどを鞄につけるなんて行為すらはばかられた抑圧された世界。
しかしこの世界はオールマイト推しが沸き上がる素晴らしい世界。
オールマイトの素晴らしさを知る人間が世界中にいる世界だ。
ならば今までできなかった推し活動をしても引かれないんじゃないだろうか。
デクみたいな人でも引かれないし!(ちょっと引かれてるけど)
よって私は幼子にしかできないオールマイトごっこから手始めに手を出した。
「すまーーーーーっしゅ!!!!」
「ぐぁー!!!やーらーれーたー!」
「はーっはっはっはっ!」
「ありがとー!ヒーロー!」
敵役に父を、被害者役に母を巻き込むが、彼らは可愛い可愛い私の虜。
私が楽しそうにしていれば何でも嬉しいタイプの親だ。いい親を持ったもんだ。
いやこれ楽しいわ。恥を捨てて良かった。
めっちゃ楽しい。頭の中でオールマイトの姿が自動再生されるから興奮する。
「ふふ…ナマエちゃんは本当にオールマイトが好きね。」
「うん!オールマイトはね、かっこいい、かわいい、ムキムキですてき!オールマイトとけっこんする!」
「ええー!パパオールマイトには"娘はやらん!"ってできないじゃないかー!」
「パパはオールマイトいや?」
「嫌じゃないよぉ!!!!」
ふっ…扱いが容易いな父よ。
目を開くことに少し力を加えて小首を傾げれば簡単に愛らしい娘となる。
父はそんな私に逆らうことなくオールマイトとの結婚に許可を出す。
待っていろ父よ。私はオールマイトと結婚には至らずとも親密な仲にはなってみせる。
「「ところで…」」
最近、彼らについてわかったことがあるのだが。
「「エンデヴァーには興味ない??」」
彼らはどうやら轟父と面識があるようだ。
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