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「………っエンデヴァァァァァァアアア!!!」






やらかしたなぁ。

No.1との差が大きくても相手はNo.2ヒーロー。

個性発現したての赤子のような私が叶う相手じゃない。




でもさぁ







かわいい友達が泣いてたら、助けちゃうよね。







「やめてください!!まだ子供です!」

「黙っていろ。こいつが始めたことだ。」

「…っ!ナマエちゃんやめて!」


「れいさんごめーん。こいつ、いっぱつでもいいからなぐりたい」




仲裁する冷さんに謝る。




個性が発現した轟少年の様子を見たいと父に頼み込み、今日は初めて私から轟邸を訪れた。
タイミングが最悪だった。
いや、たぶんあの時の轟少年への庇護欲のような感情を忘れていなければ、どんなタイミングであろうとも生で見てしまえばこうなることは免れなかった。

この野郎、轟少年が吐いて気絶するまで激しい訓練をさせやがった。


私が道場に着いて目に入ったのは、床に散らばった胃液の上に頭を乗せて倒れる轟少年と、その目の前で舌打ちをする轟父。





もう知らねぇ。


私はエンデヴァーがどういう人物かなんて知らない。
エンデヴァーへの知識なんて、八木さんがヒーロー辞めてから繰り上がりでNo.1になったと言うところで止まっている。

そのあとのエンデヴァーがどういう考えをもって、どんな行動を起こして、読者の心を掴んだかなんて知らない。





こいつは、轟少年………焦凍くんともだちを傷つけた、害悪だ。






「ふん……子供の割には気転が効くいい動きだ」

「はっ……よゆうか、くそやろう」




こいつはまだ、私の個性を知らない。

私が、左手の人差し指をこいつに触れさせれば勝ちであることを知らない。

そうとは知らず、こいつはどんどん私へ攻撃をする。



片っ端から回復していき、ダメージはどんどんと溜まっていく。





ふと、足を止めてエンデヴァーに向き合った。

私は鼻で笑いながら、




「アンタがなんでNo.1になれないか、わたしでもわかるよ。」


「っ!」





わざとこいつの地雷源を踏み抜いた。

その瞬間、エンデヴァーからは今までにない拳を腹にくらい、私は壁に叩きつけられた。

どこか"中"が傷ついたのか、むせて咳を出せば血が口から飛び散った。


それでも痛みを感じない辺り、おそらくもう治った。





「あなた、もうやめて!ナマエちゃんも!もう立っちゃ……」

「たいじょーぶだよ。なおったから」




左手の人差し指をたてて、口許に持っていく。いわゆる"内緒"のポーズだ。

私の手の形を見て、轟母ははたと、私の個性を思い出した。

そして優しい彼女は、これからエンデヴァーが傷つく事を察知し私を止めようとする。



轟母が氷を出そうと手を伸ばすが、初動がおそい。

もう私はエンデヴァーの目の前まで迫り、その腹に平手を決めた。






「…っう!!!ぁあ!!」






吹っ飛ぶことも、勢いよく私に倒されるでもない。
突如腹から広がる急激な痛みに、膝をつく。

一発一発はエンデヴァーに返しても何ともないだろうが、
全ての攻撃のダメージを蓄積し、最後の攻撃は壁にぶつかった衝撃も含めればかなりのダメージになる。


No.2ヒーローであろうとも、突如起こるその痛みには驚きが隠せなかったようだ。


私を早々に気絶させなかったのが命取りだったな。






「き、さまぁ…!!」

「しょーとくんは、おまえのむすこだ。


しょーとくんは、れいさんのむすこだ。


むすこは、おやじゃない!!!」







焦凍くんは、焦凍くんという人間だ。







「おまえのかってなじじょうで!!

"おまえ"をおしつけるなぁ!!!!」







目線が同じになったエンデヴァーの顔に、最後にパンチをした。


彼の顔は少し後ろへ動いたが、そのあと私の腕は彼に捕まれた。






「ガキが………俺の邪魔をするなぁ!!!」





そのまま腕を引かれ、宙に浮く。


今までの何倍もの強さで、思い切り降り飛ばされた。

やっぱ、現役ヒーローには敵わないよなぁ。



「ぁ゛!!……ぅ…」

そのまま天井にめり込み、床へと向かって落下する。


「ナマエちゃん!!」


れいさんが出した氷の滑り台で緩やかに床へ倒れた記憶を最後に、私は意識を失った。




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