「とにかくこの手錠どうにかしなくちゃ
コイツらは弱かったけど…長たちがこのレベルとは思えない。」
「なんだよ自信ねェのか」
「楽観視できないって言ってんのよバカコック」
「アァ!?」
たっくお前はどこまで言っても生意気だなナミさんやロビンちゃんを見習え…などブツブツ言っているサンジを置いて、
重い手錠をぶら下げながら小屋を出た。
そういえば、コイツはどうしてここに?
「あんた、よく私がここにいるって分かったわね」
「クレアさんに会ったんだよ。山に小屋はここしかなかったから分かりやすかったぜ」
「!クレアさんに会ったの?!どう!?美人でしょう!」
「お前は俺の守備範囲どんだけ広いと思ってんだ!!この枯れ専が!!」
「何てこというのよ!!美男美女はいくつになったってその風格を持ち合わせているものよ!!」
枯れ専だなんて!まるでゼフさんをそういう目で見てるみたいじゃない!失礼な!
純粋な尊敬を、邪な恋慕と捉えるなんて最低よ。
ナミにあることないこと吹き込んでやる。
ん?それにしても山に小屋がここしかないって…
私は山を下りながら、サンジに疑問を突きつける。
「……サンジ、もしかして山駆け回ったの?」
「……………」
「……………?」
「…………んなわけねェだろ」
「………………それもそうよね。サンジが私にそんなことする義理ないもの。」
不思議な間はあったけれど、まぁそんなことよりも村を潰すことを考えなくちゃ。
あの男たちよりも弱い天小人だとしても、束でかかれば十分な脅威。
「サンジを守りながらなんて…難しすぎるわ」
「オイコラわざとか。全部聞こえてんだよクソ女」
「あらやだ変態」
「上等だ三枚におろしてやる」
「…アイーーーーーーーーーーーー!!」
「!」
"お前海好きだなぁ"
"……そんなこと"
"だってお前、なんかニヤニヤしてんぞ"
そうニシシと笑う貴方の笑顔を、何度眩しく思っただろう。
私の宝物。
私の太陽。
ねぇ、気づいたの。
私、貴方達の為に死にたくないの。
「…っ……船長ォ!!!!」
貴方たちの為に、生きたいの。
まだ豆粒程度にしか見えないほど遠くにいるけれど、
彼はきっと、いつもの笑顔で私を見てる。
船長。
私今度こそ貴方たちの用心棒になるよ。
だから、
「……もう一度、私を仲間にしてくれますか」
呟くように聞いた質問は、
「「当たり前だ!!!!」」
聞こえていた隣のコックと、聞こえるはずのない遠くの船長の、
耳を裂くような二つの叫びが答えてくれた。
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