妄想の墓場 | ナノ
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ロッカーでカルマ君がムラムラする



私とカルマは、理科室のロッカーの中にいた。

「へ、変なとこ触んないで……!」
「えー?狭いから仕方なくない?」

必死に小声で訴える私に対して、彼はいつも通りに笑っていた。

何故二人でこんなことをしているのかというと、完全なる自業自得だった。カルマから「寺坂を引っ掛けるための罠を作ろう」と誘われて、つい面白そうだとのってしまったのだ。

予想外だったのは、いつもよりずっと早く本人が教室を移動してきたことだ。とっさに隠れたのが運の尽きで、続々と人が集まり、私たちは出るに出られなってしまった。

「うう……どうしよ……」
「だから隠れる必要なんてなかったのに……」

はぁ、とため息をつかれ、耳に息がかかる。くすぐったさに身をよじらせながら、確かに彼は抵抗していたなと思う。

あの時はすっかりパニックになって、素早くカルマをロッカーに押し込んだ。後から私も飛び込んだ時は、あのカルマですらギョッとした顔をしていた気がする。冷静になって考えたら、とんでもないことをしでかしてしまった。ロッカーは想像以上にせまく、体がピッタリとくっついてしまう。その上、徐々にぬるくなる空気のせいで、汗がにじみ始めた。

「このままじゃ授業始まっちゃうよ……」
「それはどうでも良いけど……」
「良くないよっ。授業終わるまでずっとここいる気?」
「確かにそれはしんどいね」

げんなりした声が降ってきて申し訳なくなる。こんな風になってしまったのは、元を正せば私のせいだ。

せめて負担をかけないようにと、踏ん張っていた足も疲れてきた。耐えきれずに力を抜いてもたれかかると、盛大なため息が落とされる。怯んだ私は、また彼から離れようとした。しかし、腰に腕が回され、また寄りかかってしまう。

気にしなくて良いよ、という彼の優しさかと思い、お礼を述べようとしたら回され手がいやらしく腰をさすった。思わず仰け反って逃げたせいで、大きな音を立ててしまった。固まり、息を潜めて全神経を集中させるけど、外に変わりはないようだった。周囲の方が騒がしいからかもしれない。

「な、何すんのばかっ」
「バカはあんただよ」

彼の手が、スカートにしまいこんでいたシャツの裾を引っ張り出す。ギョッとしたけど動けないのは、また物音を立てるわけにはいかないと理性が働いてしまったせいだ。

「俺、もしかして男だと思われてない?」
「!?」
「危機感なさすぎ」

耳元でぼそぼそとしゃべる声に、全身が震えるほど痺れた。シャツの中に入って来た手が、直接腰回りを撫でる。身をよじろうにも、反対の手でホールドされてしまえば、派手な抵抗ができない以上、逃げられない。

「ばか!ばか!むり!やめて!」
「外のやつにバレちゃうよ?」
「ほんと無理、だめ!!ありえない!!」
「……うるさいな」

カルマが私のあごをすくう。嫌な予感を覚える前に、唇を塞がれた。抵抗もむなしく、両ほほをしっかり抑えられてしまう。その手を掴んで引き剥がそうとするけど、力では到底かなわなかった。

やがて舌を入れられる。行為とは裏腹な優しい動きに、だんだんと力が抜けて来た。どちらのものかもわからない唾液があふれて口の端をつたう。聞こえるチャイムの音が、だんだん小さくなっていく。

解放される頃にはすっかり脱力していて、立っていることもままならなかった。彼に支えられて呼吸を整えていると、ロッカーの外で片岡さんが「カルマ君たちがいません」と言っているのが聞こえた。

びくりと肩を震わせ、外の様子をうかがう。どうやら殺せんせーは私たちがロッカーにいると気づいているらしく、しどろもどろに弁解していた。みんなの前でロッカーを開けずにいてくれたことに、心から感謝する。

ようやく息が整ってきたところで、また上を向かされる。闇に慣れた瞳が満面の笑みを浮かべるカルマをうつした。もうやめて、と必死で首を横に振ってみせたのに、彼には伝わらなかったらしい。目を細めると、私の背中に手を回しながら、また深く唇を重ねてきた。

殺せんせーがゴホンゴホンと咳払いをするのを聞きながら、きっとここから出たらお説教が待ってるのだろうと、うんざりする。しかしそれすらどうでも良くなってくるぐらい、彼のキスは気持ちよかった。ロッカーにこもった熱のせいで、少しずつ思考が鈍くなるのを感じながら、私はとうとう抵抗を諦めた。

170120