妄想の墓場 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


140字まとめ9



ツイッターでやった診断。キャラ名を入れるとお題が与えられるので、140字のSSを書くというもの。



 苗木誠『嘘、だったりして』

家庭教師役に十神君を選んで悔やむ。間違える度に罵声を浴びせられ疲弊していると苗木君がやってきた。
「先生が彼女を呼んでるんだけど連れてっていい?」
「チッ。早く戻れよ」
「行こう」
手を引かれ廊下へ出ると、悪戯な笑み。
「ちょっとだけ息抜きしようよ。十神君にはジュース買って戻れば大丈夫」



 狛枝凪斗『隣の人』

入学早々消しゴムを忘れて途方に暮れていると、隣の席から声がかかる。
「良かったら使ってよ」
「いいんですか?」
「もちろん!」
有り難く使わせてもらうと、カバーの端に文字が覗く。好きな子の名前でも書いているのだろうかとずらしたら、角ばった筆跡で書かれた「希望」の二文字。この人はやばい。



 十神白夜『恋して愛して、憎んでる』

初対面でちょっと良いかもとか思った自分がバカみたい。あんな酷いこと言う人だなんて!
「おいお前。……おい」
無視!
「その耳は飾りか?」
「み、耳触んないで!」
「程度の低い反抗をするからだ」
勝ち誇ったように飲み終わったカップを押し付ける。くそ、立ち去る姿がかっこいいなんて思ってないから!



 九頭龍冬彦『週七日制』

「ペコって九頭龍君のヒットマンだよね。どうやって就職したの?とりあえず履歴書は用意したんだけど」
「私はそういうのはなかったぞ」
「え?面接とかは?練習したんだけど」
「面接だと……?」
「週七日で働きたいんだけどダメかな。手取り五百円でも構わないし」
「坊ちゃんはブラック企業ではない!」



 御手洗亮太『傘の下で』

「亮太が外でてる!これ雨降るね〜」
「元々雨の予報だよ」
「げっ傘ない!」
「入れてあげてもいいよ」
「え、優しい」
「今、相合傘のシーンを作画してるんだ。構図が掴みづらいから参考にしたいだけ」
「へー。傘の下でキスとかした方が参考になる?」
「……いらないよ」
「照れてる?」
「照れてない!」



 空閑遊真『ありふれた日常の中の幸せ』

「遊真どんどん強くなるね。また負けちゃったぁ」
対戦室を出て、会うなり頭をかいた。
「でも最後の押しは良かったと思うぞ。あれは危なかった」
「そうなの!けっこー頑張った!」
予想外に褒められて食いついてしまう。我に返り、羞恥を誤魔化すように笑ってみせると、遊真も笑った。
「またやろうな」



 空閑遊真『君に呪いをかけてあげましょう』

「遊真すき。結婚して?」
「やめといたほうがいいぞ。おれは死んでるようなものだからな」
言葉が地面に亀裂を生み、私が立ち入ることを拒絶する。いつかいなくなるから。永遠なんてないから。そんな棘の痛みは、ますます私の恋慕を募らせるだけなのに。今日も彼の優しさは、私に呪いをかけてゆく。



 犬飼澄晴『ご馳走様でした』

いただきますと犬飼が言ったから、彼が想像していたよりずっと礼儀正しい少年だと認識した。
「ねえ、俺このあと暇なんだけど、そっちは?」
弧を描く瞳は余裕を携えて嗤う彼の象徴だと思っていたのに、落ち着きなくグラスを触る手は幼げに見えた。もしも私をたいらげたら、ご馳走様を聞けるだろうか?



 潮田渚『入れ替わり』

「うそ!」
「私たち」
「入れ替わってる――!?」
「…………と思ったけどさ。なんかあんま変わんないね」
「え!?どこが!?適応力高すぎでしょ!?」
「性別だってほぼ女子同士みたいなもんだし」
「僕男だよ!」
「これを機にちょっと確かめてみるか。トイレ行ってくるね」
「やめてやめて!やめて!!」



 赤羽業『ずるい人』

いつだって俺を子供扱いして、進むのは一歩ずつ。キスまでくるのに三ヶ月もかかった。
「だめだよカルマ」
ボタンにかけた手を、やんわりと握られる。
「ここから先はまた今度」
首の後ろで絡む腕。ぺろりと上唇を舐められて、お預けを食らった犬の気分だ。明日も地球がある保証なんてどこにもないのに。



 赤羽業『世界が狂う』

いつもなら翌日には忘れるような、くだらない痴話喧嘩だった。しかしその日は彼女の捨て台詞に無性に腹がたって、逃げようとする腕を咄嗟に掴んだ。気がつくと彼女は涙目で、赤い頬を押さえて必死に謝罪を繰り返していた。ふつりとわきあがるそれは、支配欲と呼ぶにはいささか野蛮だったかもしれない。



 匪口結也『ただし、ご注意を。』

「終電逃した!」
「あーあ。ちゃんと時計見てろよ」
「匪口もでしょ!直前で対戦しよって言ったのそっちだし」
「確かに。じゃ泊まってけば」
「え、いいの?」
「いーよ。ソファあるし」
「私がソファだよね?」
「ベッドが良ければどうぞ」
「何か優しい?」
「別にぃー」
手、出さないとは言ってないけどね。



 土方十四郎『約束事項』

「夫婦になるにあたってルール決めんぞ」
「えぇ?局中法度的な?やだよ」
「一つ。飯は一汁三菜」
「全部マヨまみれにすんだろ」
「一つ。マヨに文句つけない」
「おい」
「一つ。浮気は切腹」
「沖田と連絡とるのはあり?」
「なし。……一つ。死ぬのは俺が先」
「……それはじゃんけんで決めない?」
「断る」



 沖田総悟『好きにならないはずがない』

「焼きそばパン買ってこいよ」「三十分肩もめ」「ジャンプ早売り探してこい」「土方の煙草の箱にナメクジ入れてこい。吸い終わったら気づく位置な」
「沖田さん、これ以上は……」
「こんなこと頼めんのあんただけなのにな」
「えっ?」
「別に」
「……沖田さん、山崎のラケットくらいなら折ってきます」



 西丈一郎『花束を抱えて』

「花摘んでガンツ部屋戻ったら花は生き返るのかな」
「戻るわけねーだろバカ。つーかどうでもよすぎ」
西が私の足を折る。あまりの痛さに吐いたらそれで窒息しかけた。
「マジありえねぇ、ゲボで死にかけんなよ」
うつ伏せにされ、背中を叩く西。人の足折るし、銃で撃つくせに、介抱はするとか、意味不明。



 松野一松『手だけつないで』

「あのね一松君。お願いがあるんだけど」
「働けとかは無理」
「それはもう諦めてる……そうじゃなくて」
「じゃあ別れろって?ほら、言ったでしょ。絶対そうなると思った。一ヶ月か……もったほうだね」
「ち、違うよ、なんでそーなるの」
「じゃあ何?」
「……手、手を…繋ぎたい」
「……」
「ダメ?」
「……いいよ」

161026