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カルマがタイツを破るだけ



「カルマ君、タイツ買ってきてー」
「この前も買ってなかった?」
「タイツって消耗品なんだよ、すぐ破れちゃうんだ」
「え、そうなの?じゃあ一枚ぐらい破ってもいい?」
その質問の意味が分からず、買ってきたタイツを紙みたいにビリビリ破ってゴミ箱に捨てるカルマ君を想像した。「自分で買うならいいよ」と言ったら、頼んだ分より多く買ってきた。何のためにやるんだろう。そう思いながら、ありがとうとお金を払ったら、彼はその場で自分の分のタイツを開封する。
「さ、みょうじ、履いてよ」
「え?今はいいよ。もうお風呂入るし」
「いやいや、破らせてよ」
は?という前にベッドに押し倒されて、マウントポジションを取られた。彼は私の上で向きを変えて、スカートを持ち上げた。
無理やりタイツに脚を通しながら、「これ履かせるの大変だね」なんて呟く。表情は見えないけれど、その声から心底楽しんでいることが窺えた。
事態の深刻さを理解して暴れたら、「動かないでよ」と、肩越しに振り返ってたしなめられた。カルマ君の目が悪戯を楽しむ時のものになっていて、私はようやく彼の真意を理解した。カルマ君は、私が履いている状態のタイツを、破ろうとしているんだ!
「か、カルマ君、やめてよ!」
「何?いまさら」
「そういう意味だと思ってなかったの」
「でも俺は最初からそのつもりだったし」
腰浮かせて、と彼が言うので、情事の最中を思い出して顔が熱くなった。つい素直に従ってしまったせいで、タイツを最後まで履かされてしまう。帰宅してからの解放感がなくなり、一気に窮屈な気持ちになった。
彼は私が逃げ出さないよう、体重をかけたまま、向きを変えた。身を屈めて鎖骨の辺りをぺろりと舐めると、満足げに口角を上げる。
「一回さ、服とか裂いてシてみたかったんだよね。でも、さすがにそれは困るでしょ?」
ポケットから出した小ぶりなカッターを指先で回転させながら、彼がじりじりと下半身の方へ降りていった。またスカートをめくり上げると、タイツを引っ張って、カッターの刃をカチカチと出す。
「傷つけたい訳じゃないから、暴れないでね」
言葉のわりに加虐性を秘めた瞳に見下ろされ、身動き一つとれなくなった。タイツが裂けて、素肌が外気に触れる。その手つきに焦らされているのは、私か、彼か。

(150201)