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1012 天使とマルコ夢

ある日マルコのところに女の子が降ってくる。白いワンピース着た背が低いふわふわした女の子。

「あなたを幸せにするためにきました!」

女の子は満面の笑みでそう言って、最初はみんな不思議がってたんだけど好奇心のが優ってその女の子を船に乗せることにする。
いつも女の子はマルコの後ろ付いて歩いてて、まるで親鳥とひなみたいな光景に周りほっこり。マルコも最初はうっとおしがってたけど、だんだん女の子の存在があたりまえになってきてなんとも思わないように。

「マルコさんー、今日も海がきれいですねー!」
「……別にいつもとかわらねぇよい」
「いいですねー、見慣れてるってことですね!うらやましいです!」

にこにこと毒気を抜かれる笑いかた。かわいい。


ある日女の子が突然言った。
「私、天使なんです。最初も言いましたが、あなたを幸せにするためにきました」

はァ?思いっきり胡乱な目でみつめてくるマルコに微妙な泣き笑いをして、女の子は話し出す。

「あなたの願い事を、ひとつだけなんでも叶えてあげられます。嘘だとお思いでしょうが、本当ですよ。願い事は、よく考えて使ってくださいね」

それだけ言ったら女の子が消えた。いみわからねぇよい。

それから一週間、彼女の姿が見えなかった。


彼女の姿が見えなくなってちょうど7日後、サッチが殺された。
どうして、なんで、サッチが死んでしまったことで精神的にまいってるマルコ。自室の椅子に座ってうなだれてたら、一週間前の彼女の言葉が頭に響いた。

「まだ、いるのかよい」
「願い事、決まったぞ」
「天使、なんだろい」
「願い事、叶えろよ」


そこまで言ったら後ろから抱きしめられた。回されてる腕も、背中にあたる体もすべてあたたかい。涙が出そうだ。

「言ってください」
「………サッチが殺される前の時間に、もどして、くれ」
「はい。………それが、マルコさんの幸せになるのなら」


私はこの世からいなくなりますが、どうぞ、幸せになってください。

って声が聞こえて強い目眩に襲われる。気づいたらサッチの背後でナイフ振りかぶってるティーチがみえて、急いで止めにはいる。

ティーチと戦ってるあいだ、どんどん主との思い出が消えていく。ティーチを倒して、海流ししたころには、誰かがいた、ってことくらいしか覚えてないようになる。




2012/10/12 14:47