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「#エロ」のBL小説を読む
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触れた瞬間、


恋をしてみて分かった事。
私は積極的なタイプではないということ。初めてこんなに好きになったかもしれない人。それがまさかの担任の先生だと言う事。積極的になれる訳でもなく、猿飛さんみたいな真似なんて出来るわけがなかった。あんな風になれたら、なんて思ったりもするけれど結局は影から見て満足してしまう 人間です。

「……」

そろそろ1時間目が始まる時間かな、と思いながら隣りを見ると机に足を上げてとても態度の悪いスタイルで携帯を眺めている生徒がいた。この学校で最恐のヤンキーと言われている高杉晋助くん。ヤンキー、とは言われているけど私はあまりそんな気はしていないし怖いとも思わない。良い噂は聞かないけど、それもコロッケパン横から取られた!とか女子中学生に声かけてる変態がいた!とかほぼ高杉くんの周りにいる人達の噂だ。それにその高杉くんにカツアゲされてるところを助けてもらった人だっている。私とか。

「おはよう高杉くん」
「……ああ」
「今日は朝練行ったの?」
「あんな温い連中とやっても楽しくねぇだろ」
「せっかく強いのに勿体ないよ、近藤くんから何回も誘い来てるんでしょ?」
「ゴリラのいる部活なんてなおさら行くかよ」
「近藤くんはゴリラじゃないよ……」

そう、高杉くんは剣道がかなり強い。中学の時は色んな大会で賞を重ねていたのに高校に入ってぱったりとやめてしまった。噂を聞いた近藤くん達剣道部が何度も誘いをかけているが基本は無視、唯一話に耳を傾けるとしたら……

「おい高杉ー、てめぇ俺が頑張って起きたってのに朝練サボってんじゃねぇよ成績落とすぞ」
「……ちっ」

めんどくさい奴が来た、と言わんばかりに舌打ちをして高杉くんは携帯から目を離す。いつの間にか近くには銀八先生が立っていていつも通りだるそうな目で高杉くんを見下ろしている。
そう、高杉くんが名前だけ入部しているのは銀八先生の仕業なのだ。何をどうしたのかは知らないが、高杉くんはたまにだが部活に顔を出しては部員をコテンパにしているらしい。そんな彼にあこがれを抱く後輩も少なくない。

「お前がいる日なんてなおさら行かねぇよ」
「お前そういう事言う?俺だって今週のジャンプ買うの我慢して来てんだよむさ苦しさぐらい我慢しやがれこのやろー」
「……本当に教師かよお前」

うわぁ、高杉くんと先生が話してる。
その普通の光景を見ている時でさえ私の心臓は忙しなく動いている。先生、先生、先生、その声がすごく好きです。雰囲気も、全部。
ふと、先生がこちらを向いた。

「!」
「名字みたいな真面目な子の近くに何でお前がいんだよ変な影響与えんなよ」
「知るかくじ運だろうが」
「お前も、何かあったら言えよ」
「え、う、はい」

ん、と先生は短く頷いてぽんぽんと持っていた出席簿で私の頭を叩いた。
うわぁぁ。
嬉しい、恥ずかしい、嬉しい。
ぐちゃぐちゃの感情を出さないようにきゅ、と唇を結ぶ。ふわっと香ったタバコの匂いにくらくらする。ああ何だか、今日は頑張れる気がする。


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