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出会った瞬間、


「おーいとっとと席つけてめーら」

まとまりなんてこれっぽちもないようなこのクラスを、まとめる事が出来るのはあとにも先にもこの人一人なんだろうなと思う。
ダルそうでめんどくさそうなのを隠そうともせずにむしろ全面に押し出して教卓に立つ私達の担任の先生。


出会ったのは3年生の始め。
クラス替えがあって、ちゃんと友達できるかなとか噂で聞いた人達ばかりで不安だった私。担任も関わった事のない先生で心配だった。けど、

「新学期早々うるせーよてめぇら」

先生とは思えないほどくだけた話し方だけど不思議と胸にストン、と落ちてくる声。想像していた先生と大分違った、だからかな。
くわえたままのタバコも、ダランとだらしなく結ばれたネクタイも、同じくダランと着ている白衣も、死んだ魚のようだと言われていた目も、たまに見せる優しげな表情も、今でも鮮明に思い出すことができるの。
気づけば胸を占めてた不安はなくなって、心臓はトクントクンと脈打ち始めていた。


「ったくお前らはよー朝っぱらからギャーギャーと。お前らの為に連絡事項覚えるこっちの身にもなってくんね?」
「それ先生として当たり前の事でしょ」
「うっせーよ眼鏡。今日の連絡はー……あー…忘れたわ、はいホームルーム終了」
「いやグダグダにもほどがあんだろ!戻って聞いてきてくださいよ!!」

ガシガシと頭をかいて「あとで聞いてくるわ」と言うとまた生徒達からしっかりしろよーとブーイングが飛んでくる。
そんな中でも私は先生から目を離せなくて、ただ記憶に残すことに必死だ。

ねぇ先生
先生は私みたいな何の特徴もない生徒はすぐに忘れてしまうんでしょうけど
私はきっと、忘れることはできないと思うんです

笑わないで
知らんぷりしないで
だけど触れないで

私の大切な初恋


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