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皆がもくもくとご飯を食べている中、高杉君は一人なかなか箸が進まない。
美味しくないのかな、と気落ちしたがそういえばさっきまで寝てたんだったと思い出し眠いのか、と結論が出た。箸とお茶碗を持ったまま今にも眠ってしまいそうな高杉君、あ、溢れる。
その前に傾いたお茶碗に手を添えてみた。

「……らび」
「高杉君、まだ眠い?」
「…ああ」

ぼんやりとした目で私を見る高杉君はやっぱり疲れてる、それでもお腹は空いているからかゆっくりでもちゃんとご飯を食べてる。でもとうとう手が止まった。

「もう寝る?」
「腹は減ってんだよ」
「うーん…」
「らび」
「ん?」
「食わせろ」
「え」

ん、と箸を手渡す高杉君。
ああこれは完全にスイッチ入った、眠いときに出る高杉君の甘えたスイッチ。昔は先生にそのスイッチが発動していたが最近は私にも入るようになってきた、心を許してるって感じで嬉しいには嬉しい。
ので箸で卵焼きを摘まんで口元へと持っていく、

「はい、高杉君」
「ん……」

小さい頃も食べかけをあげたりもらったりしてたから恥ずかしくはない、それに今ぐらいは鬼兵隊総督からただの高杉晋助に戻ってほしいから。

「おいしい?」
「……まあまあ」
「あ、可愛くない答え」
「言わなくてもわかんだろ」
「高杉君は言葉足らずだよ」
「いいから食わせろ」
「……ん、」

「はい高杉、あーん」
「そんなに食わせてもらいたくば俺達も協力しよう、はいあーん」

「……何してんだてめぇら」

ニコニコの笑顔で卵焼きを差し出す坂田君と桂君、高杉君はめんどくさそうに顔を上げるがまたすぐにため息と共に俯いた。

「わざわざらびの手ェ煩わせんじゃねぇよボンボンがこんちくしょー」
「俺達が食わせてやろう、だかららびは向こうへ行っていろ」
「ふざけんな、何が悲しくててめぇらに食わせられなきゃなんねぇんだよ。銀時の卵焼きに至っては明らかに一口食ってるだろ」
「はいはいあーんの次は潔癖症ね」
「全くこれだから高杉は」
「てめぇは母親かヅラ」
「ヅラじゃない桂だ」

うだうだ文句言ってるけど、高杉君目覚めたみたい。この2人には眠気も勝てないんだね、とこっそり笑ってしまったある日の夕食の時間。

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