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「今日もうめぇな!」
「良かったです」
「おかわりいいか?」
「どうぞ」

ぱたぱたと忙しない足音をたてながら広間をてんてこ舞いしている名前を見ながら桂は味噌汁をすする。
これだけの人数のご飯を用意するのはかなりの重労働、そして自分達は食べて終わりだが彼女は洗い物をして次の日の朝食の仕込みもしているはずだ。彼女は剣を振るわない代わりに、他のところでしっかりとこの戦争に参加していた。

「らび」
「ん、おかわり?」
「いや、……お前まだ食べていないのではないか?」
「私は大丈夫、だから桂君もたくさん食べてね」

笑顔でそう言う名前に桂はムッとした表情を浮かべる。

「お前は自分の事を大事にしろ」
「でも本当に大丈夫だよ」
「……今日の卵焼きは絶品だな」
「え、ん、ありがとう?」

脈絡のない会話に首を傾げる名前の前に桂は卵焼きを一つ差し出す。
桂と卵焼きを交互に見る名前にさらに卵焼きを近付け「食べるといい」と一言。

「こんなに美味しいのだ、作り手が食べないのはおかしいだろう」
「でも桂君の分なくなっちゃうよ」
「俺はもう食べた」
「じゃ、じゃあいただきます」

小さい頃から食べさせ合いをしてきたので今さら照れたりはせずに、すんなり食べる名前。
もぐもぐと口を動かし、やがて「ほんとだ、美味しいね」と言ってふにゃんと笑う。
それを見て桂も微笑んだ。

「そうだろう」
「桂君が食べさせてくれるからいつもより美味しい」
「な…!お前は……!!」
「な、なんて……ね?」

顔を赤くさせて誤魔化したつもりなのか名前はまた微笑む。

「そんなにうまいのなら、もう一つどうだ」
「……いただきます」

もうお互いに顔も見れない状態だったが、運ばれた卵焼きにまた口を開けようとした時に目の前の卵焼きが消えた。
名前が振り向けばそこには額や頬に怒りマークを浮かべた高杉と銀時が立っていて、銀時は桂の箸から卵焼きを奪ってもっさもっさと食べている。

「楽しそうだな俺らも混ぜてくれや」
「そこだけ体感温度高ぇんだよふざけんなヅラ」
「ヅラじゃない桂だ!銀時、食べたいならばちゃんと皿を持ってから来い!箸渡しは行儀悪いでしょうが!!」
「おかんか!!」
「らびも食わせてもらってんじゃねぇよ」
「でもいつもやってたし」
「昔は昔!今は今!!」
「何かうちはうち!よそはよそ!…みたいだな」
「「てめーは黙ってろ電波」」

今日の卵焼きは甘めにしてみた、それで桂君が美味しいって言ってくれるなら明日もそうしてみようかな。

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