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- ナノ -

「高杉君、タオル」
「…………」

壁を背にして座っている高杉君に近づいてタオルを差し出すが反応がない。
無視ですか、と思って顔を覗き込めばまだ少し幼い寝顔が見えた。…そうだよね、疲れてるよね。
このままだと風邪を引くから奥から毛布を持ってきてかけてやる、そして紫がかった髪が汚れているのでそっとタオルで拭いた。

「…………」
「疲れてるよね…」
「……」

綺麗になった髪に指を通して、頭を撫でる。
今は何もかもわすれてゆっくり休んでほしい。

「お疲れ様、高杉君」

そう言って離れようとしたのにぐっと腰に腕を回されて立ち上がる事が出来なかった。
え?と思って下を見れば意地悪そうに笑っている高杉君が下から私を見上げている。

「キスの一つでもしてくれるもんかと思ったが…おあずけか?」
「お、起きて……!?」
「お前ガキの頃から俺の狸寝入りに騙されてたな、成長してねぇのか」
「つ、疲れてると思ったから気利かせたのに…!」
「いや疲れてる」
「……ほんとに?」
「これでも激戦潜り抜けて来たんだ、疲れてるに決まってんだろ」

疲れてる人はそんな暴言言わないと思うけど、でも高杉君の目にうっすらと隈が浮かんでいたから何も言わずに頭を撫でてやる。

「……眠いなら布団ひくよ?」
「…そしたら、お前ヅラか銀時に、持ってかれるだろ」
「私は物ですか。……でも高杉君眠そうだし」
「…………しろ、」
「ん?」
「膝枕、しろ」

うとうとしながらそう言う高杉君を放ってどこかへいくのはあとあと怖いし今の体勢よりマシな気がしたので正座して高杉君の頭を乗っけてみた。

「一時間したら起こすね」
「……ん」
「おやすみなさい」

ゆるりと弧を描く唇と聞こえてくる寝息。
それを見て私は頭を撫でていた手を再開させる、そのあと辰馬さんの大声に起こされてしまい喧嘩を始めるのはもう少しあとのお話。

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