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「桂君」

皆がぞろぞろと隠れ家に入る中で桂君は一人裏に回ると手にしていた剣を地面に突き刺す。
そこは戦争中に死んでいった人達のいるお墓だ、……また誰かが死んでしまったのだろう。
黙って座っている桂君の隣に腰を下ろしてそっと手を合わせる。

「……らび?」
「桂君、中入ろう?」

そう言えば頷いて立ち上がった、その背中を追いかけて私も中へと入るが桂君は柱に凭れると空を仰ぐ。そしてうわ言のように呟いた。


「惜しい奴を亡くしてしまった」
「……」
「俺達は、あと何人亡くしてしまうのだろうな」
「誰かが、死んでしまうのは…悲しい」
「……」
「だから待ってるのは怖いよ、また人数が減ってるんじゃないかって…」
「お前にはいつも、辛い思いをさせているな」
「だけど、……桂君はここにいる」
「……!」
「帰ってきてくれてありがとう」

ようやく柔らかな笑みを浮かべてくれた桂君にタオルを差し出す。顔を拭いている桂君の綺麗な髪は砂ぼこりで汚れてしまっていたので渡したのとは別にもう一枚タオルを持って優しく桂君の髪を撫でてやる。

「!」
「あ、動かないで」
「いい!このぐらい自分でやる!」
「良いの、私にさせて」

そう言えば大人しく顔を伏せて髪を拭きやすくしてくれた、なのでもう一度髪を拭こうとした時だ…

「いちゃついてるとこ悪ィんだけどさ、俺も拭いてくんね?」
「さ、坂田君!?」
「おいおいヅラ、こんな所で一人占めはズルいだろ」
「銀時…高杉…!貴様らどこから沸いて出た!!あとヅラじゃない桂だ!!」
「惜しい奴を亡くしてしまった、あたりから」
「かなり序盤ではないか!!」
「てめぇがらびを一人占めするからだろうが」

桂君の髪を拭こうとしたタオルを高杉君に取られてしまって何も出来ない。
どうしようかな、と思いながら目の前の慣れ親しんだ喧嘩を黙って見守る。

「第一らびは俺と一緒にいたのだ!お前らはお互いに拭いてもらえばいいだろう!」
「「ぶっ殺されてーのかヅラ」」
「ヅラじゃない桂だ!!」

やっぱり元気が一番だね、と思いました。

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