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「あなたは何歳なんですか?」
「教えねぇ」
「じゃあ、いくつですか?」
「聞き方変えただけだろうがてめぇはバカか」
「酷いですね」
「黙れ、それか離れろ」

いくら突っぱねられても離れませんよ。
そう言えば、諦めたようにその人は静かにお茶を飲む。
久しぶりに会ったけど何も変わってない、むしろちょっと意地悪になってる。でも変わってないこの人を見て私は内心ホッとしてた。

「ニヤニヤすんな気色わりぃ」
「あの、私を女だと思って接してますか?」
「俺は男女差別はしねぇ質なんでなぁ」
「う、何かそう聞くと何も言えませんね」
「……お前やっぱりバカだな」
「あ、またバカって……」

拗ねる私の何が面白いのかちょっと憎いほど綺麗な笑顔を浮かべるからまた私は何も言えなくなる。
それでも年齢がダメならば、と食い下がってみた。

「お名前はなんですか」
「……知ってどうする」
「あなた呼びから昇進します」
「何様だ」
「なまえ様です」
「なめてんのか斬るぞ」
「分かりました、代わりに私の名前を教えます」
「……なまえだろ」
「え!何で知ってるんですか!?」
「てめぇが勝手に名乗ったんだろうか」
「あぁ!しまった!」

頭を抱えればその人はゴミを見るような目で私を見下してきた。そんなに身長に差があるわけではないのに見下される気がするのは何故だろう。こう、威圧感がある。

「でも、私の名前を知ってる人なんてこの江戸に数人ですよきっと」
「……名前伏せてんのか」
「はい」
「犯罪者か?」
「違いますよ、……ただ大好きな人に呼んでもらっていた名前を勝手に呼ばれたくないんです」
「俺にはあっさりバラしたじゃねぇか」
「あなたは良いんです」
「……?」
「あなたも、私と同じだから。私と同じくらい秘密をたくさん持ってそうだから…一つぐらい教えたって良いじゃないですか」

そう言えば何も言わずに立ち上がるその人。帰ってしまうみたいだ。
名前教えてもらえないのかな、と顔を伏せていたら「高杉だ」とぶっきらぼうな声が降ってきた。
驚いて顔を上げても背中を向けているその人の顔は見えないけど嬉しくて私は笑顔になる。

「高杉さん」
「必要ねぇ時に呼ぶんじゃねぇ」

たくさん返してくれるわけではない。
特別な事をしてくれるわけではない。
でも、私がした事をガラスに反射するように同じ分だけ返してくれる、それだけで嬉しいんだ。

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