愉快な誘拐
今沖田華、大変よろしくない状況にございます。
「へっ、これで沖田総悟も真選組も俺たちの手に落ちたも同然だな」
「アニキィ、あんたすげぇよ!!引退したとは言え元真選組1番隊副長を簡単に攫えるなんて並の人間にはできやせん!!」
何だかテンションが上がっている2人組。今まで誘拐されかかった事は何度かあったが、捕まったのは今日が始めての事だった。
「女の弱点をついた誘拐、手口はなかなかのものだったわ」
「アニキは、今まで1000人以上の女を抱いてきてんだァ!!女の行動は知り尽くしてんだよっ!!」
「女が弱いもの...それはバーゲンセール!!」
そう、私はショップ店員になりすましたコイツらに、バーゲンセールがあるからと連れて行かれ、テンション上がって油断したところを、薬を嗅がされ拉致されたのだ。
アホそうに見えて、コイツらなかなかやりやがるっ!!!
「泣いても叫んでも無駄だからなァ」
ニヤニヤとこちらを見る男。
それにしても、なんでこんなアホそうな2人に捕まってしまったのだろう。
自分の馬鹿さ加減に涙がでそうだよ!!
「泣きもしないし、叫んだりもしませんよ。無駄な体力使うだけなので」
「余裕だなァ...。でも、その余裕いつまでもつかな?」
私のケータイを勝手に操作する男。
パシャリと写真を撮られる。
「この写真を、沖田に送りつける」
「イヤー!!流石っスアニキ!!その悪っぷり!!そこに痺れる憧れるぅうぅぅ!!」
何?このテンション。
マジうざいんですけど、マジうるさいんですけど!!!
「んー。なんか、この写真危機感が足りねえな」
「んじゃ、アニキこれなんてどおですか?」
縄で縛られてる私に、刀を向ける下っ端A。
「それでいくぜ!!」
パシャリとまた写真を撮られる。
「おっし、これでどおだ?」
写メを確認する下っ端Aと私。
「すみませんー、下っ端さん目半開きになってますよ」
「誰が下っ端だぁ!!って、マジだ。オレ目、半開きだ」
撮り直す事になり、またカメラを向けられる。
「おい、お前今度は完全に目閉じてるぞ?」
テイク3、下っ端がくしゃみする。
テイク4、下っ端が刀を落とす。
テイク5、下っ端の顔がキモい。
テイク6、下っ端の顔の横に心霊現象。
「こおらぁあぁあ!!テメェどんだけ写真写り悪ぃんだぁあ!!最後に至っては知らない人写り込んでっけど!?」
「写真撮られなれてねえんですよ、すんません!!」
「撮られ慣れてねぇとか言う問題!!??」
「あのー。私もう帰ってもいいですか?」
あなた達のコントももう飽きたんで。と言うと、パチンと頬をぶたれた。
「調子に乗ってんじゃねえぞ?テメェは大事な人質だ。返すわけねーだろ?」
頬がピリリと痛んだ。コイツ、縄が解けたら覚えとけよ。そう心の中で呟く。
「コイツ、脱がすか」
男の発言に全身に鳥肌が立った。
「オレに任せて下さい、アニキ!!」
さっきはよくも下っ端扱いしてくれたなあ?と詰めよられる。
沖田華、絶対絶命のピンチ!!
「おりぁあぁ!!」
着物がビリビリと音を立て破れる...。予定だったのであろう。
「あ、あれ?意外と頑丈...」
「この着物すっごく高かったんで、生地が強いんですよ」
襟を力任せに引っ張られる。
着物が伸びたらどうしてくれんだコノヤロー。
「あ、アニキどおですかぃ?」
肩がデローンと下がって花魁のようになる。
この程度の露出で良かったと少し安心した。
「んーなんかイマイチ」
なに考え込んでんだよ、アニキィ!!
さっさと写真送ればいいのに!!
気付けば、外は夕日が落ちようとしていた。
「これなら、どおだぁあぁ!!」
「つめたっ!!!!そして、臭っ!!!」
着物を見ると白い液体。
牛乳を顔にかけられたようだ。
「お前もやりゃあ出来るじゃねーか」
「そしてさらにぃぃいぃ!!」
私の目の前に投げられたものは、黒い物体。え。何?まさか?コレ...。
「いやぁあぁあ!!ご、っゴキっ、!!!!」
頂きっ、と声の後に、シャッター音が響いたがそんな事はどうでもよかった。
「いやぁあぁ!!コイツだけわぁあぁ!!助けて!!助けてぇええぇえ!!」
「今誘拐メールとお前の写メを送った所だ。助けはそう早く...」
ガッシャーン!!と爆音がした後に、小屋の中が白い煙に包まれた。
華!!と愛しい声。
「総悟総悟総悟!!早く早く助けてええぇぇええ!!!」
「華!!」
「ちっ、おい人質を逃がすな」
「何処にいるのか、、み、見えません!!」
「オレの嫁に手ェ出して。ただで済むと思なよ」
目の前に赤が飛び散る。
次第に煙が晴れ、総悟の姿を確認出来た。
「総悟総悟総悟!!」
「華...。怖かったかィ?」
すごく怖かったよぉと泣きつくと縄を解いて、抱きしめながら頭を撫でてくれた。
「てか、臭っ!!お前、使い古しの雑巾みたいな臭いがするっ!!」
「下っ端Aに牛乳引っ掛けられたんだもん」
牛乳?と頭を傾げる総悟。
「んじゃ、この写メの白い液体は...」
精子じゃねーのかィ。とモロな単語を呟きながら写真を見せられる。
「ぎゃあぁああぁ!!何この写真!!予想以上に...」
「エロいねィ...」
どことなく満足そうな顔をする総悟。
ケータイを取り上げようとしたが、軽やかに交わされる。
「にしても、お前腕落ちたんじゃねえかィ?こんなヘボい奴らに捕まるタマじゃねえだろ」
「うっ...。少し油断してしまって...」
「牛乳引っ掛けられたくれーでこんなにビクビクした顔しやがって」
「それは、目の前にゴキを投げつけられて...」
ゴキィ?と総悟の目が私の顔を睨む。
「つーと、何かィ?この怯えた表情はコイツらにじゃなくて...」
「コイツらごときにビビらないわよ」
はぁ、とため息を吐き、無線で他の隊士を呼びだす総悟。
「華!!無事かっ!?」
「華ちゃん、怪我はねぇか!?」
一目散に駆け寄ってくれる土方さんと、近藤さん。私は無事ですと一言発すると安堵の表情を浮かべる2人。
「コイツらが主犯か」
伸びているアニキと、下っ端Aに目を向け、連れてけと近藤さんが支持を出す。
「よく殺さなかったな、総悟」
「人の所有物に手を出した奴らを簡単に死なせやせんぜィ」
「無事でよかったよ、華ちゃん」
ありがとうございましたと頭を勢いよく下げる。
「「臭っっっっ!!!!」」
総悟視点のお話へと続きます。
全然甘くもないし、ギャグにもなりきれてないし管理人が一番ビックリしてます\(^q^)/
続きは裏にするかどうか迷い中(´Д` )
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[mokuji]
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