弟沖田君。

今まで武州でミツバちゃんと暮らしていたが、今日から私は仕事の関係で江戸へと移り住む事となった。
ミツバちゃんを1人にするのは心苦しかったが稼ぐ為、ミツバちゃんに仕送りをして早く病気を治してもらう為に私は江戸に住む決心をした。

江戸に到着すると、人と、天人の大渋滞。田舎とは違い右を見ても左を見ても似たような風景で、完全に道に迷っていた。


「...どうしよ」


困っていると、姉ちゃんどこ行くんだ?とガラの悪そうなお兄さんに声をかけられた。


「オレら今超暇してんだけど、一緒に遊んでくんねえ?」

「楽しいトコ行こうぜ〜」


これはかなりマズイ。強引に腕を掴まれ、連れ込まれそうになる。


「離して下さい!!」

「アンタみたいな上玉、離すワケねっーしょ?」

「オレらと遊んでくれよ〜」


周りの人々は、見て見ぬ振り。
なんとか掴まれた手を振りほどこうと抵抗する。


「おい、お前ら何やってんだ?」


私の目の前に現れたのは銀髪の侍。


「あー?正義のヒーロー気取りかテメェ」

「ギャーギャーうるせェんだよ、発情期ですか?コノヤロー」


私の手を掴んでいた男達をあっという間に倒す、お侍さん。


「危ない所をありがとうございました」

「アンタ、見ねェ顔だな。かぶき町はゴロツキが多いかんな、気をつけろよ」

「あの、何かお礼を...」

「いーって、いーってそんなの」


そんなのと言いつつ、喫茶店へと連れ込まれる私。


「悪ぃな、助けたお礼なんかしてもらっちゃって」

「...いえ、好きなもの注文して下さい」


銀髪のお侍さんは迷わずチョコレートパフェを注文した。
私もコーヒーを注文する。


「アンタ、どっから来たんだ?」


この辺の奴じゃねーだろ?と問いかけられ、武州から出稼ぎに来た事を説明した。


「田舎からわざわざねぇ、いや、本当感心するわ」

「そんな事ありませんよ、お侍さんはこの辺りに住んでるんですか?」


質問をすると万事屋銀ちゃん、坂田銀時と書かれた名刺を差し出された。


「なんでも屋さんですか?」

「ああ。この辺でやってっからよ、なんかあったら依頼してくれ」

「はい、ありがとうございます」

「アンタの名前、聞いていいか?」


ドゴオオオン!!!

名前を名乗ろうとした所で、喫茶店の壁が壊れ、かなり大きな爆音が響いた。


「...旦那ァ、アンタこんな所で何やってんでィ」


壊れた壁から一人の男の子がこちらへと向かって来る。


「沖田くぅぅん!!??なんで銀さんにバズーカ向けてんの!!?」

「返答によっちゃあ、木っ端微塵ですぜィ」


バズーカを構える男の子、間違えない。


「あなた、なんて事してるの!!」

「待てぇえ!!コイツ、すげぇドSだから!!そんな強い言い方したら矛先がアンタに...!!」


止める坂田さんを押しのけて、謝りなさい。と声を荒げる私。


「やめてぇええ!!それ以上言ったらバズーカの引き金がぁあ!!」

「ごめんなさい!!!華姉!!」


頭を下げる総悟の頭を撫でてあげると、お久しぶりでござんす。と抱きついて来た。


「ほら、総悟。坂田さんにも謝って?」

「旦那ァ、すいやせんでした」

「すいませーん、沖田くんのキャラ完全に崩壊してませんか?」


テーブルに飛び散った壁の瓦礫を撤去して、再び椅子に越し掛ける。


「なんであんな事があったのに、平然としてんの?」

「総悟、何か頼む?」

「僕、コーヒーがいいっス」

「すみません、コーヒー2つとパフェ1つお願いします」

「はい、かしこまりました」

「なんで、店員も突っ込まねーんだよ!!」


坂田さんをなだめ、何のお話してましたっけ?と尋ねる。


「あ、アンタの名前を聞こうとしてたんだったよね?」

「申し遅れました、私沖田華と申します」

「この方、沖田くんの...?」

「姉上でさァ」


かぶき町でチンピラに絡まれ、坂田さんに助けてもらった事を総悟に話す。


「旦那、ありがとうございやした。世話かけましたねィ。ところで、華姉にからんで来た連中の顔、覚えてますかィ?」

「顔〜?覚えてねぇよ。んなもん」

「思い出してオレの元まで連れて来て下せェ」


これは依頼ですぜィ?と言い、前金を手渡す総悟。


「そこまでしなくても...」

「姉上、オレは悪い奴をほっとけねぇんでさァ」

「いつからそんな真面目になったの?沖田君」

「旦那、さっさと行って下せェ」


わーったよ。とパフェをかき込み、立ち上がる坂田さん。


「じゃ、華ちゃんごっそーさん」

「いえ、いろいろとありがとうございました」


店を後にする坂田さん。
久しぶりに総悟の顔をマジマジ見れて気持ちも落ち着つく。


「華姉、江戸で仕事するって聞いてやすが...」

「総悟ばっかりに苦労はかけられないからね。私もこっちで働いてミツバちゃんに仕送りしようと思って」


仕送りが足りねぇなら言ってくれればよかったのに、と言われ否定する。


「ううん、私がミツバちゃんに出来ることをしてあげたかったの」

「江戸は、武州に比べて治安が良いとは言えやせん。オレは、姉上が心配でさァ」

「心配しなくても大丈夫よ」


総悟もいるしね。と頭を下げる撫でるとニコニコ微笑まれる。


「姉上とは、離れ離れだけど...華姉と一緒の町に住めて、オレ嬉しいっス」

「私もよ」


積もる話を30分程度して、
コーヒーも飲み終わり、店を後にした。


「総悟、あなた仕事は大丈夫?」

「はい、今日は午後から非番なんで」


かぶき町を2人で歩いていると、総悟と同じ制服を来た2人組。
あれは...。


「総悟と、華ちゃんじゃねーか!!」

「お久しぶりです。近藤さん、...と」

「......華」


土方さんもお久しぶりですね。と挨拶をする。


「あ、あぁ...」

「土方さん」


土方さんにゆっくり近づき、笑顔になる私。


「ここで会ったが100年目」

「「死ね土方ァァアァアァァ!!!」」


バズーカをぶっばなす総悟と、真選組への手土産を投げつける私。


「あっぶねぇだろうがァァアァアァァ!!」

「ち、仕損じやしたねィ」

「総悟、腕を上げたわね。惜しかったわよ」

「次は確実にしとめまさァ」


テメェら、いい加減にしやがれ!!と怒鳴られる。


「華ちゃん、相変わらずだね」

「近藤さんもお代わりなくて嬉しい限りですわ」


土方さんもお代わりないようで。と一言呟くと、タバコに火をつけ出す土方コノヤロー。


「あらやだ、土方さん歩きタバコはダメですよ」


ちょっと、そこの店から消化器を貸り来てくれる?と総悟に言うと、へい!といういい返事。


「待てコラァ!!テメーら2人どうしてもオレを貶めたいようだなァ」

「貶めたい?」

「違いますぜィ」

「「抹殺したいんで(すよ)(さァ)」」



『サディスティック姉弟』



「今日から、江戸に住む事になったので、お2人共よろしくお願いしますね」

「武州に帰れェエエェェエ!!」



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