人生とは、思い掛けない事の連続である。
「おい、合コン組め」
隊長の一言にビックリする。
絶対合コンとか嫌うタイプだと思ってたのに。
「へ ん じ」
「わ、分かりました...」
私が一言返すと
日程は、お前が決めていい、4.4な。と呟き立ち行く隊長。
隊長とは付き合いが長い為、いろいろと無理難題をふっかけられてきたが...まさか合コンを開けと言うお達しが出るなんて考えてもみなかった。
18歳にもなると彼女とか欲しくなるのかな?
まぁ、いいか。と特に深く考えず私はケータイを開き友達を捜した。
合コン当日。
「華〜!久しぶり!」
「真選組と合コンなんて...!!持つべきものは友達だわ〜」
「本っっ当に今日はありがとね!!」
隊長の好みに合うような、一般的に可愛いと断言出来る子達を集めた。
失礼ながら、3人を位で例えると上の中以上ではないかと思う。
こんな可愛い子達を呼んじゃって、私めっちゃ浮いてんじゃんか。
やべ、死にたい。とか思いながら、合コン会場のダイニングバーへと入る。
「お疲れ様です」
私が一言声を掛け、個室に入ると隊長、局長、副長、ザキさんの姿。
って、私みんな知り合いじゃん!!!
しかもこの席...男一列、女一列になる流れじゃなく、男女男女....女男女男女流れ?(古)
私はザキさんの隣にでも...と回り込もうすると、
「お前はここ」
隊長から隣の席指名頂きましたー。
私を近くにおいてフォロラーにさせるつもりか。
お前の考えはまるっとお見通しだ!!まぁ、怖いからそんな事言えないけど。
飲み物を注文し、変な緊張感のせいか場が少し静まる。
そんな思い空気を察してか、局長が立ち上がった。
「えー、今日はお忙しい中お集まり頂きありがとうございます!!」
局長!!真選組の飲み会じゃないんですからっ!と突っ込むザキさんに場が和む。
「みなさん、今日の出会いにカンパーイ!!」
乾杯も終わり、自己紹介の流れになる。
「英子(えいこ)でぇす。合コンなんて久しぶりなんで緊張してますが、よろしくお願いします〜」
「美衣子(びいこ)でっす。お酒大好きなんで、今日は皆さん飲みましょ〜」
「詩炒子(しいこ)ですぅ〜。真選組の方々と飲めるなんてすごく嬉しいで〜す」
さすが、合コン3人姉妹。手馴れている挨拶に呆気にとられる。
次は華の番だよと言われた。みんな知り合いなのに挨拶いる?
と思ったが、流れを壊すのも嫌だったので、華です。よろしくお願いします。と当たり障りの無い台詞をはいといた。
「ごほん。近藤勲です。よろしくお願いしまっす!」
てか、近藤さん。アンタお妙さん一筋とか言いながらなんで来ちゃったの?
少し顔を赤らめてるのがすげー腹立つ。
「えっと...山崎です。こういう飲み会は不慣れですが、よろしくお願いします」
あぁ、ザキさん...。貴方だけが私の癒しです。
「沖田総悟でさァ」
「土方十四郎だ」
てか、2人!!なんか怖いんだけど!!
不機嫌オーラ出てない!?
隊長が合コン組めって言ったくせになんなのその態度!?
副長も愛想笑いすら出来ないならこんなとこ来るなよっ!!
とりあえず心の中でツッコミを入れたが、ザキさんも同じ事を思ったのだろう何か言いた気だった。
お酒も進み場は盛り上がってきた。
何気に隊長と、美衣子がいい感じなのでホッとした。
ちょいちょい、フォローを入れながら隊長と美衣子の話しを盛り上げる私。
なんで私がこんなに気を使わなければいけないのだろう。
早く帰りたいとか思ったが、隊長も、みんなも楽しんでるみたいだからよしとしよう。と、自分に言いきかせる。
「すみません〜、ラストオーダーのお時間です」
店員さんの声と共にみんなが最後のお酒を注文。
なんか、二次会に流れるらしく私は何処に行くのかをみんなに委ねた。
お会計は、男性陣が払ってくれたらしくお礼を言い店を後にする。
歩きながら次の店に向かうが、隊長の顔が赤い。絶対飲みすぎてるなぁ...。
「隊長〜、大丈夫ですか?」
「...テメェ、誰に物言ってんでィ」
「あ、すんません」
ダメだ、酔っ払って完全にドSスイッチオンだ。
こういう時は、他の人に丸投げするに限る。頼んだザキさん!!
少し歩いてたどり着いたのはオシャレなダーツBAR。
なるべく隊長に近づかないように、土方さんの隣へと座った。
「...副長も酔っ払ってます?」
「アァ?大丈夫に決まってんだろ?」
なら良かった。隊長に加え副長まで酔っ払ってたらめんどくさい事この上ない。
「ねえ、副長。なんで合コンなんてしたんですか?」
隊長も、副長も合コンするキャラじゃないでしょ?と問い詰めると、眉間にシワを寄せ、副長の口が開く。
「この前...お通が真選組に来たろ?そん時に合コンしてどっちがモテるか白黒つけようって話になってよ」
まさか、総悟のヤローが本当に組むとは思ってなかったがな。とタバコの煙を吐く。
「なるほど。意地の張り合いで開催された合コンって訳ですね」
「...そんな言い方しなくてもいいだろうが」
「別に嫌味で言った訳じゃないですよ?なんか、納得しちゃったって言うか...」
「華ー!!!!!!」
土方さんと話していると、対角線上に私の名前を呼ぶイケボが店中に響き渡った。
「おい、華。ご指名だぞ」
「いえ、聞こえないフリします」
「華華華!!!!早く来ねぇと、ピーをピーしてピーだ「だぁあぁああ!!分かったから黙って下さい!!!」
重たい腰を上げ、隊長の隣に座る。ザキさんちゃんとめんどう見ろよなと言いたかったが、言わないでおいた。
「華華華」
「なんですか、何回呼べば気が済むんですか」
あー、こんな事になるならダーツゾーンに行っとくんだった。
女子達と局長、めっちゃ楽しそうじゃん。てか、ザキさんまで向こうに行くなよ。
「...飲みすぎですよね、完全に」
「酒に飲まれたい時もあるんでィ」
「隊長ー。ダーツしなくていーんですか?美衣子めっちゃ楽しそうですよ〜?」
「興味ねェ」
「ダーツに興味ないかもしれませんけど、美衣子と仲良くなるチャンスですよ」
「だから、興味ねェって言ってんだろィ」
てっきり美衣子がタイプかと思ってた。隊長は、誰狙いなの?
誰狙いなんですか?と訪ねるとイラっとした表情。
「...お前...本当鈍感」
「鈍感?」
「オレが興味あんのは、お前だけでィ」
「あ、なるほど。他の3人は可愛すぎて虐めれないと。そういうことですか」
ちっ、と舌打ちを食らう私。
何でそんなに不機嫌なの!?
「オレはなァ、お前が好きだって言ってんでィ」
「...はい?」
「だから、お前のことが好きだって言ってんだろ」
脳内フリーズとは、この事だ。
隊長が私の事を好き...?
いやいやいやいや、ない。絶対にない!!
「あはは...またまた、隊長っば〜」
「冗談じゃねェ。オレは、マジでお前が好きなんでィ」
「いや、隊長そんな素振り見せた事ないじゃないですか」
「オレはねィ、1年以上前からお前のことを...」
「ちょ、ちょっと待って下さい!!全っ然そんな感じじゃなかったじゃないですか!!むしろ、都合のいいパシリくらいにしか思われてないと...」
「正直、酔っ払った勢いってのもあるが...言っちまったんだからしょうがねェ。お前をパシリなんて思った事はねェし、今までの関係を壊すのも怖かったから...言い出せなかったんでィ」
「あ、のっ...隊長、私の何処がいいんですか!!隊長みたいな高スペックな人間なら、他にもっといい人居ますって!!」
「あー?お前腹立つ。今日...イマラチ「ふふふふふふ副長ぉおぉおぉおぉお!!!!助けて下さいぃいぃいぃい!!!!」
土方さんに助けを求めると、あ、オレダーツの時間だ。と一言わざとらしく呟かれた。
「これで、助けを求められなくなったねィ」
「だだだだ誰かー!!助けて下さいぃい!!」
気づくと私の膝に頭をのせる隊長。
「ちょっとぉお!!何してんですか!!」
「.....返事」
「返事?」
「オレは、決死の覚悟で告白したんですぜィ」
返事を聞かせて下せェ。と言われまたもや脳内パニック。
「えっ、今?」
「今」
「....あの〜、誠に申し訳ないのですが...」
「却下」
「いや、マジでお気持ちは嬉しいんですけど...」
「却下」
「あの、ですから...」
「却下」
「返事させる気ないですよね」
「オレが望んでる回答ができるなら言わせてやらァ」
無言になる私達。
高級取りで、顔も王子様で、ドSが玉に瑕だけど、それを差し引いてももハイスペックな隊長が...私の事を...好き?
平凡で何も取り柄のない私なんかじゃ釣り合いとれなさすぎでしょ。
「隊長、酔っ払ってるんですよ。今日はもう帰りましょう」
「...おう」
2人でBARを出るとお金を差し出される。
「なんですか、これ?」
「タクシー代。...オレと2人で帰るのは抵抗あるだろィ」
先に帰って寝てろ。オレはみんなと帰るから。とお金を握らされ、隊長はBARへと戻って行った。
言われた通りにタクシーを止め、一人で乗り込む。
酔いも冷め、頭の中は隊長の顔が頭から離れなかった。
隊長には、もっと釣り合う女の子がいるはず。そう自分に言い聞かせ、屯所に戻った。
お風呂に入り、湯冷めしないうちに布団へと潜りむが...寝れないっ!!
明日も朝から仕事だってのに、隊長のせいだ。隊長があんな事言うから悪いんだ!!と頭をブンブン降る。
『だから、お前のことが好きだって言ってんだろ』
『オレはねィ、1年以上前からお前のことを...』
だあぁああぁぁあ!!
目を瞑るたびに隊長の顔がぁあ!!
モヤモヤしながら葛藤していると、襖から朝日が差し込んでいた。
あっという間に起床時間がやってきて、鏡をみるとトラファ◯ガーさんにも負けないくらいの隈ができていた。
隈をコンシーラーで隠し、食堂へと向かう。
廊下を歩いていると、今一番会いたくなかった人の姿があった。
「...お前、ブスが輪をかけてんぜィ」
いつもの隊長に動揺する。
もしかして、昨日の事覚えてない?
それか...隊長の悪ふざけだった?
重い気が少し晴れて、昨日飲みすぎたんです!!と言い返した。
ふーん。と言う隊長に安心して食堂へと足を伸ばしたが
「んで、昨日の返事はいつもらえるんですかィ?」
人間って、こんなに冷や汗が出るものなんだなぁと実感した。
「隊長...昨日の事.....」
「はっきりと覚えてますぜィ」
隊長に肩を組まれ、身体が固まる。
「華、オレのものになりなせェ」
「い、や、あの...その」
「今まで、どれだけ我慢してきたと思ってるんでィ。...これからは遠慮なしにいくんでよろしく」
「いやっ...よろしくと言われましても...」
てか、顔近い!!顔近いからぁああぁ!!
隊長の綺麗な顔が近いという事は隊長から見ても私の顔が近いということで...あぁあ!!もっとちゃんと化粧しとくんだった!!
「...お前、テンパりすぎ」
気づくと、隊長の顔が近づいてきて頬に柔らかいものがあたった。
キスをされたと気づくのに数秒かかり、隊長の隣を飛び退く。
「な、な、なっ...」
「遠慮なしでいくっつただろ」
ニヤリと笑う隊長を後に、私は廊下を走り抜けた。
(後、もうひと押しですかねィ)
(し、ししし心臓がもたなぃいいぃい!!!)
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[mokuji]
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