出逢えた幸せss | ナノ

■ 2014/お正月SS(7)―Feliz año nuevo!

ゆっさ、ゆっさと、透さんが歩くたびに身体が揺れて気持ちいい。

透さんの背中が暖かくて、気持ちよくて、また瞼が落ちそうになる。

画像の説明



「直くん、初日の出だよ。」

今来た坂道を振り返って、優しい声で教えてくれた。

「え?」

俺は顔を上げて前を見る。

白々と薄明が、さっきよりも広がってきて、

大きくて明るい光が昇っていく。


「…わあ…まぶし…。」


透さんの背中で、初日の出が見れるなんて、すげえ幸せ。

昨年のお正月は、透さんと夜景を見たなーなんて思い出した。

今年は初日の出を一緒に見ることが出来て。

そして来年も、また再来年も、透さんと…毎年一緒に過ごせるんだ。

なぁーんて、幸せ、俺。

つか、いつまでおぶってもらってんの、俺ってば。

「――ごめん、透さん。重かったでしょ?降ろして?」

大丈夫なのに…。と笑いながら、少し身を屈めて俺が降り易い体勢をとってくれる。

いつだって透さんは、俺に優しいんだ。


そうだよ、だから皆にあんなことされてんのに、透さんが黙って見てるはずないよな。

やっぱり、俺は情けないけどビール呑んで酔っ払って、寝ちゃったんだ。うん、そうに決まってる。


「どうしたの?直くん。何、考えてるの?」

さっきの夢のことを思い出してたら、透さんに顔を覗きこまれた。

「――な、なんでもないよ!」

ちょっとでも透さんを疑った自分を隠すように、俺は透さんに抱きついて、肩に顔を埋めた。

「…直くん?」

俺の背中を、撫でてくれる手が温かい。

「透さん、明けましておめでとう。」

抱きついたまま透さんを見上ると、いつもの優しい眼差しが俺を映している。

「明けましておめでとう。今年もよろしくね。」

そう言って、俺の額に唇を寄せて、触れるだけのキスをくれる。

それだけなのに俺はまた、早く二人きりになって、続きをしたい!なんて思っちゃうんだ。

だけど…

俺も、もう4月からは大学も3年になるんだし。

我慢しなきゃいけない時は、我慢しなくちゃね。


「ね、今から初詣行こっか。」

本当は、家に帰りたい…ような気もするけど…、俺は透さんを初詣に誘ってみる。

なのに透さんは、不思議そうな顔をする。

「え?家に帰らないで?」

「…うん…折角外に居るんだし、帰る前に行ってもいいかなーなんて思っ…」

って、最後まで言い終わらないうちに、いきなり透さんに唇を塞がれた!

軽く啄ばむようにしただけで、すぐに離れたけれど、まだ唇が触れるくらいの距離。


「俺は、家に帰って、早く直くんのこと食べたいんだけど…。」

俺の耳元に唇を触れさせながらそう囁くと、また俺の目を見つめて艶然と微笑んだ。

そんなこと言われたら、俺の理性なんて……最初っからあっても、無いようなもんだけどさ!



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