こん、と強めのノックに本へ落としていた視線を上げた。返事を返せば間を開けずに開けられる扉から、ひょっこりとナマエが顔を出す。

「マルコ、本貸して」

頷くだけで返事をすれば、ナマエは慣れた足取りで気持ちばかりの本へと向かう。

その背を横目で盗み見ていると、さして迷わずナマエの腕に抱えられていく数冊の本。

「…番とはどうだよい」

何気なく聞いた言葉にナマエは少し驚いたように振り返ると、ぱちりと瞬きをしてへらりと笑った。