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私は真島さんに呼ばれていた


初っ端から嫌な予感はしていたが
行かなければそれはそれで
理不尽に怒られるとも思ったので
私は仕方なく呼ばれた場所へと向かった





とある事務所の個室へ入ると
そこには大股を開いてソファに腰掛け
妖しげに微笑む真島さんが居た




「ま、真島さん・・・なんですか用って・・・」

「なまえ、ワシは断言する」

「へ?」

「今日、お前は此処に来て
ワシに会うたことに感謝する!」

「ちょ、ちょっと真島さん
言ってる意味が分からな・・・」

「ちょっと黙ってそこ座っとれ」

「あ、は・・・はい・・・というか
扱い雑すぎません・・・?」



まるでなにを言っているのか
さっぱり意味不明のまま
私はちょこんと肩身狭そうに
ソファへと座った

事務所の奥の部屋へと
真島さんは入っていく




真島さんにはいろいろと
連れ回されてきた身だ
次はなにに巻き込まれるんだろう

私は、そう思っていた




「これや、これ」


真島さんは奥の部屋から
出てきたと思うと
カメラのフィルムの
ようなものを私に投げ渡し
慌てて私はそれを受け取った




「わっ・・・ちょ、ちょっと
急に投げないでくださいよっ
というか、なんですかこれ?」

「お前が好きそうなモン・・・
いや、お前の好きなモンを
偶然この事務所で見つけてもうてなあ・・・」

「・・・私が、好きなもの??」


手のひらで私の好きなもの
と言われるそれを転がす


一見、ただのカメラのフィルムだ

別に自分はカメラに興味はないし
第一、カメラがなければ
このフィルムは使えない



「このただのフィルムが
どうしたっていうんですか」

「ただの、やない
このフィルムの中身が重要なんや」

「中身・・・?写真、ってこと?」

「せや、その中身の写真は・・・
あぁ、アカンアカン
お前に教えるんは勿体ないわ」

「えぇ〜、なんなんですか
ここまで呼んでおいて
見せてくれないなんて」



にやにや、と不気味に笑う
真島さんに、私はひたすら
頭の上で?を繰り出していた



「それで、私にこのフィルムを
渡してどうしろっていうんですか?」

「それを今から東城会に行って
大吾に渡してこい」



!?


あまりの唐突な依頼に
私は驚いてしまう




「今から!?だ、大吾さんに・・・!?
でもっ、私今日はちょっと・・・」

「ちょっとなんやねん」

「心の準備が・・・」



私が大吾さんに惹かれている
ということは、真島さんは
よく分かっていて

きっとなにか企みがあって
急に行け、と言うのだろう




真島さんは呆れた顔で
ヘッ、と唾でも吐いたかのような
顔で気味悪そうにこちらを見下した



「お前・・・なに猫被ってんねん」

「ね、猫なんて被ってないですよっ・・・」

「たかが大吾ごときに
心の準備が・・・、ってお前アホか!」

「でもなんで今なんですか!!
別に違う日でもいいじゃないですか!」

「お前、ワシの今日の予定
丸潰しにしようっちゅうんかい・・・?」

「・・・ひっ!!」


一瞬見せたその片目の瞳は
まるで私を鋭く突き刺すように
私の目をギラリと睨んだ




「い、いってきま〜す・・・」

「それでこそ俺の女や」

「い、いつから私
真島さんの女になったんですか!」

「ヒッヒッヒ・・・まぁ楽しみにしとるで」





真島さんは背中を向けて
ドアへ向かう私に
意味深げな言葉を投げかけた




この小さなフィルムが
一体どうしたというのだろうか




私はそのフィルムが後に
とんでもない出来事を起こすことを
知る由もないのであった











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