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―三日前―





桐生さんが東京を出て
まだ間もない頃


電話もメールも一切
してくれない桐生さんに
私は怒っていた







「なまえちゃん、なに怒ってんの」

「別に、怒ってませんよっ」

「あら、そう?
なら別にいいんだけどさ」




秋山さんに呼ばれ
スカイファイナンスに
足を運んでいた私は
ソファに座り項垂れていた





「今日君を此処へ呼んだのは他でもない」

「なんですか、改まって…
もしや、また留守番ですか
前に留守番したときヤクザが来て
怖い思いしたからもう嫌ですよっ?」

「あぁ、あの時は本当にごめんね!
いやほんと、わざとじゃないんだよ?」

「絶対わざとだ…」

「まあまあ!今回はそのお礼に
いい情報貰ってきてあげたのよ」

「いい、情報?」




秋山さんはニコニコと笑いかける

私は気味悪そうにその
いい情報とやらに耳を傾けた







_____________________






「あ、あの…すみません
此処に鈴木太一さんという方は
いらっしゃいますか…?」

「あぁ、鈴木さんなら
丁度さっき家に帰ったばかりだよ」

「あ、どうもありがとうございます
あの…、これ良かったらどうぞ」






"いい情報"


というのは、桐生さんの偽名
そして居場所と職場の事だった



てっきり沖縄に居ると思っていた

だがそうではなかったことに驚く









『それじゃ、桐生さ…
いや、鈴木さんによろしくね』

『秋山さん、それって…
私に福岡に行けって
言ってるんですか…?』

『え、だってなまえちゃん
桐生さんに会いたいんでしょ?』

『そ、そんなこと一言も言って…!!』

『って言われても、顔に書いてるしねぇ』

『なっ……!!??』

『あ、これ手土産に持って行ってよ
花ちゃんおすすめ、東京ばな奈〜』

『……ばな奈…』






秋山さんは私が
考えていることなんて
まるでお見通し、という
顔をしていたが



『桐生さんのこと、好きなの?』




そんな秋山さんの質問に
はっきりと答えを
出せない自分が居た




好きかと言われれば好きだし
でもどこまで好きなのかと
問われれば、分からない










私は一体、福岡まで
何しに来たんだろう






「おぉ、東京ばな奈だって!
君は、鈴木さんのお知り合い?
それとも、…娘さん??」

「あ、いやっ…その…
友達、みたいなものです…」

「そうか、鈴木さんはやっぱり
東京の人だったんだね」





傍(はた)から見たら
このくらいの娘がいても
可笑しくない歳の差だ
勘違いされるのも頷ける



けれど、その言葉は
思ったよりも自分ではショックで






「急にお尋ねしてしまって
すみませんでした
私はこれで、失礼します」

「わざわざ手土産ありがとうね
それじゃあ鈴木さんによろしく」

「はい」







”会いに来るべきだったんだろうか”


そうふと、頭に浮かんだ











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