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「桐生さん、大丈夫ですか?」

「あぁ・・・だいぶ落ち着いたみたいだ
なまえ、悪いな・・・」

「良かった・・・もう本当に驚きましたよ・・・
急に死にそうな声出して電話してくるから・・・」


――――――――――――――――――


土曜日 午後16時


特にこれと言った用もなく
のんびり家で休日を過ごしていると
滅多にない桐生さんからの電話が。

その声は息切れを起こし、掠れた声だった
「なまえ・・・悪いが、看病を・・・頼む」
そう言ってすぐに電話が切れる


慌てて桐生さんの家に向かうと
居間でしんどそうに座り込む桐生さんがいた


体格の大きい桐生さんの重い体を
ベッドになんとか寝かせて
体温を測ると40度近くもの熱を出していた

そこからは一晩中つきっきりで看病をしたのだった


――――――――――――――――――


「あの桐生さんが弱ってるなんて・・・
・・・そうか、もう歳か・・・って思」

「おい」


43歳の桐生のツッコミは素早かった
それだけ体力が回復したということだ
なまえは安心したように一息をついた


「それだけツッコめる元気があれば
もう大丈夫そうですね・・・」

ふと、時計を見ると日付を超え
深夜の3時を回っている


できるだけ桐生さんの傍に居たいとも思った
しかし8時から仕事のあるなまえは
仕方なく、帰る決断を下すしかった


「桐生さん、ごめんなさい
・・・私、そろそろ帰らないと」

「あぁ。本当に迷惑かけてしまったな
ありがとう、なまえ」


ベッドからゆっくりと起き上がる桐生
病み上がりのせいからかいつもよりも
その声は若干弱々しく、顔は緩やかだ

いいえ、と言葉を返し私は立ち上がる
けれどそんな顔を見て、なまえは
尚更帰りたくない気持ちが増してくる


「・・・桐生さん、あの・・・
本当に体調・・・大丈夫ですよね・・?」


帰りたくない、離れたくない
もっと一緒に居たい、そんな表情が混じって
なまえは声を震わせじっと桐生を見つめる

すると桐生はそれを見透かしたのか
応えるように大きく逞しい手でなまえの
腕を掴み、ベッドの上へと引き寄せた


「っ・・桐生さん・・・!?」

「そんなに此処に居たいなら居ればいい」

「・・・!」


胸の奥に引っかかっていたものが
するりと紐を解くように抜けていく

居たいなら居ればいい、という言葉
実に答えは簡単で明確であった


「・・・でも、・・・私仕事・・・」

「・・・行く必要なんてない」

「そっ、そんな・・・」

「なまえが行きたいって言うなら
別に俺は構わないが・・・」


桐生は眉間に皺を寄せてそう呟く
その低いトーンの声は私の耳に甘く流れ込む


「・・・今日は休みます」

なまえは顔を真っ赤にして俯くと
桐生は気づかれないように微かに笑い
なまえの背中に大きな腕をまわして抱き寄せた


「まぁ・・・此処に呼んだ時点で
帰そうとは更々思っていなかったけどな」

「えっ」




少し熱を帯びた桐生の体は
なんとも心地が良くて、暖かくて。
胸に顔を埋めるように抱き着いた





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※あとがき


この小説には続きがあります
ただし続き物はR18となります

宜しければ次へどうぞ

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